全国の中小河川の緊急点検結果と対応策
 12月22日に閣議決定された2017年度の補正予算案には、7月の九州北部豪雨を受け、2020年度までの3年間で低コスト水位計の設置や砂防堰堤(えんてい)の整備など事業費3700億円に上る緊急対策予算が盛り込まれました。
 九州北部豪雨では、氾濫した15の中小河川で水位計が設置されておらず、大きな被害につながりました。これを受け、国土交通省は、水位計の全国的な整備を進めるために今年9月から、都道府県などが管理する約2万の中小河川で緊急点検を実施しました。老人ホーム、役所といった重要施設や住宅が洪水時に浸水する恐れがあるなど、優先して対策を講じるべき河川を調査しました。今後、約5000河川の約5800カ所に、水位計設置を進める方針です。
 洪水を感知する水位計は、大雨などで川が増水した場合のみ作動する低コスト型です。コストが従来型の10分の1以下(1台当たり100万円以下)で、無給電で5年以上稼働します。橋などへの設置も容易で、超音波などを使って水位を観測します。
 そのデータは、自治体がリアルタイムで把握し、近隣住民の避難指示などに活用します。
九州北部豪雨の現地調査する石井国交相(7月9日)
 また、九州北部豪雨では流木による被害が目立ったことから、流木対策として透過型の砂防堰堤の整備にも力を入れます。このタイプの堰堤は、鋼製スリットなどを通して通常は水を流しながら、洪水時に流木や土砂を捕捉します。全国約500河川の700渓流に、事業費1300億円で透過型砂防堰堤などを整備します。
 さらに、国交省では浸水家屋が多いなど氾濫防止が特に必要な約400河川の計300kmの区間で、河道掘削や堤防整備を実施して河川の流下能力を高めます。事業費は2300億円です。
 なお、茨城県の対応箇所は、洪水時の水位監視177箇所、土砂・流木対策2箇所、再度の氾濫防止対策17箇所15.9キロです。
 九州北部豪雨の発生後、公明党は直ちに国・地方議員が現場を視察。石井啓一国交相(公明党)も被災地に入りました。11月の参院代表質問では山口那津男代表が九州北部豪雨などからの復旧・復興とともに、「予防型の防災・減災対策を大きく前進させるべき」と訴えていました。また、石田祝稔政務調査会長らが今月、政府に提出した補正予算に関する要望でも、九州北部豪雨などを踏まえた対策費充実を求めていました。