小学校の給食のイメージ
 子どもの健全な成長を支える上で、重要な役割を担う学校給食。少子化対策や貧困家庭の「食の安全網」としても注目される中、その費用を無償化する動きが全国で広がり始めています。
 給食無償化は、2016年度末までに全国61市町村がすでに実施しています。
 このうち、北海道足寄町では、町立の小中学校5校と、町内唯一の高校である道立足寄高で2015年度から給食費の無償化を開始。高校まで拡大したのは、生徒数が減り続けて廃校になれば、今後も若者の流出に歯止めがかからなくなるとの危機感があったからです。
 全国の市では北海道三笠(人口約9000人)、兵庫県相生(3万人)、栃木県大田原(7万5000人)の各市などが給食無償化を実施しています。茨城県内では大子町(1万7700人)が、2017年4月から少子化対策である子育て支援策の一環、保護者の負担軽減として、幼稚園・小学校・中学校の学校給食費無料化を実施しています。
 一方、全国には給食が実施されていない学校もある。主食・おかず・牛乳がそろう「完全給食」の実施率は小学校の98.6%に対し、中学校では83.7%にとどまっています。
 また、所得の低い世帯では、就学援助制度などを利用すれば給食費が支給されるが、給食が未実施の学校の児童・生徒には昼食の支援が届きません。給食未実施校に通う低所得世帯の児童・生徒への対策は急務です。
 こうした状況を踏まえ、文部科学省は2017年度から公立小中学校の給食無償化に関する全国調査に乗り出しました。
 この調査を提案した公明党は、2017年5月に行った政府への提言の中で、全小中学校における完全給食の実施と、地方自治体における学校給食の無償化支援を要請しています。
「食の安全網」の役割も、滋賀県長浜市/対象人数は全国最多
 人口10万人以上の自治体としては全国で初めて給食無償化に踏み切った滋賀県長浜市の取り組みを、公明新聞の記事から(2018/1/12付け)みてみたいと思います。
 「いただきます!」。琵琶湖にほど近い長浜市立速水小学校(小森和代校長)。冬休み明けの10日の給食には、鶏肉を使った料理や紅白なます、雑煮汁といった正月をイメージした献立が並び、児童たちの元気な声が響きました。
 長浜市は、子育て支援を通じて定住や移住促進につなげようと、2016年9月分から小学校の給食費無償化に踏み切りました。対象人数は市内27校に通う計約6600人で、全国で最も多い人数です。
 2度の市町村合併を経た長浜市の人口は約12万人。しかし、合併後も人口減少が続き、児童数も年々減っている危機感から、2015年度に少子化対策推進本部を設置しました。少子化対策推進本部では、子育て世帯の負担軽減策として、ランドセルや制服などの購入費用の助成も候補に挙がりましたが、最終的に児童全員が平等に恩恵を受けられ、心身の健全な成長につながる給食費の無償化に決めました。2017年度予算では約2億6600万円を計上。小学生1人当たり年間約4万4000円の給食費を全額補助しています。
 小森校長は「給食は栄養を補うことに加え、家庭では口にすることが少ない食材を皆で楽しく食べるという食育の役割も担っている。子どもたちには、その費用を出してくれる地域の方々の思いを無駄にしないでと呼び掛けている」と語ります。
 4人の子どもを育てる市内の主婦は、「教育費がかさみ、家計のやりくりが大変な中で負担が減り、とても助かる」と話す一方、「子どもに感謝の心が芽生え、食べ物を残さず食べるようになった」と意識の変化も生まれています。
 長浜市教育委員会の担当者は「市民へのアンケートでは、給食無償化に対し多くの人から高い満足度が得られました。地域全体で子どもを育てるという無償化の趣旨を、今後も丁寧に伝えていきたい」と意気込んでいます。