市区町村の負担軽減、浮いた財源で少子化対策を
イメージ 自治体が独自に行う子ども医療費の助成に対し、政府が科してきた“罰則(ペナルティー)”が、公明党の主張を受け、2018年度から一部廃止されます。ペナルティーは、自治体の独自助成で受診が増え医療費の増大を招くとして、市区町村が運営する国民健康保険(国保)の国庫負担を減額調整する措置です。今回、未就学児までを対象とする助成へのペナルティーが廃止されることになりました。
 未就学児までを対象とする助成は、全1741市区町村で実施されています。窓口で医療費の自己負担分を支払った上で、市区町村に申請して助成金を受け取る「償還払い方式」の場合は、ペナルティーの対象外です。
 2018年度予算案では、ペナルティーを一部廃止し国保の減額調整措置を講じないことで生じる経費として56億円が計上されました。これにより、自治体にとっては、無理なく独自助成を続けられるようになるだけでなく、新たな財源が生まれます。
 この財源について、厚生労働省は公明党の主張を受け、他の少子化対策に充てるよう求めています。
 公明党は、山口那津男代表が2015年2月の参院本会議で「ペナルティーは見直すべき」と訴えたほか、同年3月には、党内に「子どもの医療等検討小委員会」を設置し活発に議論してきました。自治体や地方議員の意見を踏まえ見直しを政府に強く働き掛けてきました。
 これを受け厚労省は検討会を設置し、制度見直しに着手。2016年3月には、減額調整措置を「早急に見直すべき」との見解をまとめ、同年6月に閣議決定された「ニッポン1億総活躍プラン」に「見直しを含め検討し、年末までに結論を得る」と明記していました。
 見直し内容の具体化に向けた議論でも公明党は、ペナルティー廃止で生じた財源を子育てに無関係な事業ではなく、少子化対策の拡充に活用するよう自治体に求めていくことを訴えてきました。
 
茨城県内では17市町村が高校卒業まで医療費を助成
 茨城県内自治体は、県と市町村が独自の制度として、子ども医療費の助成制度を拡充実施しています。井手よしひろ県議ら県議会公明党の調査によると、中学卒業まで入院・外来とも医療費の助成を行っている市町村が27、高校卒業までが15、20歳未満が2つとなっています。
 昨年(2017年)3月予算特別委員会での質疑で、当時の橋本知事は公明党高崎進県議の質問に答えて、「中学3年生の外来まで制度を拡充することについては、少子化対策のさらなる充実を図るために大変事重要であると考えていますので、(高崎)委員のご意見なども踏まえ、今後の財政見直しや他県の女性状況などを見ながら、前向きに検討してまいりたいと考えております」と答弁し、茨城県がさらなる子ども医療費の助成を拡大する意向を示していました。国のペナルティーの縮減で、所得制限の撤廃や自己負担の軽減など、市町村の取り組みが一層充実されることが期待されます。
茨城県内のマル福制度