再認定審査結果説明会
 1月31日、茨城県北ジオパーク推進協議会は、日本ジオパーク委員会から昨年(2017年)12月22日にジオパークとしての認定を取り消されたことを受けて、ジオパーク関係者に再認定審査結果説明会を開催しました。日本ジオパーク委員会及び日本ジオパークネットワークの協力を得て、直接今回の認定取り消しに至った経緯について説明並びに質疑応答を行いました。
 県北ジオパークを支援し、県や日立市が県北ジオパークの正会員となることを議会で強く訴えた井手よしひろ県議も、オブザーバーとして出席しました。
 説明会では、県北ジオパーク推進協議会(会長・三村信男茨城大学長)より経過説明と今後の対応について説明がありました。また、日本ジオパーク委員会、日本ジオパークネットワークの役員より、県北ジオの認定取り消しは、本来、設立時につくられなくてならない3〜5カ年計画が策定されていないこと、事務局体制が脆弱であり、関係団体の連携がとれていないこと、拠点施設の整備がなされてこなかったことなどから、2015年再認定審査において条件付き再認定とされていたことに加え、昨年12月の委員会では、2回目の条件付き再認定(イエローカード)相当となったことから、日本ジオパークとしての認定を取り消すこととなった、との説明がありました。
 その後、質疑応答が1時間余り行われ、地域の活性化のためにジオパークの運営に情熱を持って取り組んできたインタープリーターを始め、関係者の再認定への熱い思いが語られました。
日本ジオパーク委員会、ジオパークネットの役員

県北ジオパーク運営員会で“再認定”を目指すことを確認
 再認定審査結果説明会の後、県北ジオパークの運営委員会が開催され、今後の方向性が協議されました。
 会員機関である各市町村や金融機関等の代表者の間で協議を行った結果、今後、ジオパークとして早期の再認定を目指すことが確認されました。今後、県北ジオパークの運営基本方針の明確化、事務局体制の大幅な刷新などに取組とともに、認定取消し決定後も活発に取り組まれているジオパーク活動を継続し、”新しい茨城県北ジオパーク”を発信するとしています。
 再認定に向けては、.献ストーリーを見直して基本計画・実施計画等を策定し、茨城県北ジオパークのビジョンを明示することで、会員間の組織的な連携を推進する。協議会の運営体制を刷新してジオネットとの連携を強化するともに、財政基盤の強化とインタープリター等の声を活かしたボトムアップ型の仕組みの導入を図る。0饐觚北ジオパークの全体像を展示する拠点施設をはじめ、地域の地質、歴史、文化資源等を展示する施設・看板等を整備する。等の取組を進めていくとの会長のコメントが公式ホームページに掲載されました。(https://www.ibaraki-geopark.com/早期の再認定に向けて努力することを確認しまし/)

市町村を中心とする新たな体制を目指せ
 今後、具体的な事務局体制の検討などが行われていきますが、現状の茨城大学に事務局を置く体制では、抜本的な見直しは出来ないのではないかと思慮されます。日本ジオパーク委員会やジオパークネットのこれまでの指摘を冷静に読むとき、事務局の主体はやはり市町村であるべきです。市町村に専従の担当者を置き、拠点施設も市町村に整備するのがふさわしいと思います。茨城大学と茨城県は、この市町村の取り組み学術的な面や人材育成、広域連携などの面でしっかりとサポートする体制を整えます。その上で、県北ジオパークの明確な目標や方向性を定めた年次計画を策定すべきです。

【参考】第32回日本ジオパーク委員会審査結果報告書
2018/1/26付け
 2017年12月22日開催の第32回日本ジオパーク委員会において、貴協議会(茨城県北ジオパーク推進協議会)からあった日本ジオパーク再認定申請について、現況報告書並びに2017年10月2日〜3日の現地審査結果をもとに審議しました。その結果、下記の理由により、2回目の条件付き再認定(イエローカード)相当という結論となったことから、日本ジオパークとしての認定を取り消すこととしました。
 なお、下記には、茨城県北ジオパークの優れている点と今後更なる改善を期待する点(指摘事項)も示しました。当委員会は、貴協議会が下記を参考に更なるジオパーク活動の構築に取り組まれることを切に希望するものであります。また、貴協議会からの要望があれば、日本ジオパーク委員会はその活動に関する助言・支援を致します。

1.認定取消しになった主な理由
 貴協議会は、2011年に日本ジオパークとして認定され活動を続けてきたが、2015年の再認定審査において、条件付き再認定(イエローカード)を受けている。このため、2年後である今回、2015年再認定審査時の指摘事項に関する取組状況並びに日本ジオパークとしての持続的発展及び成長性について再度の再認定審査を受けたところである。
 茨城県北ジオパークは、5億年前の古生代に形成された日本最古の岩石をはじめとして、日本列島の形成に関わる重要な地質遺産を有する。ジオパーク活動は、会員企業・地元企業・ジオネット・学生プロジェクト等に支えられており、事務局は大学に設置されている。
 今回の再認定審査の結果、2015年の再認定審査時の指摘事項に対する取組は次のように不十分であった。
 2011年の新規認定審査と2015年再審査において、事務局体制を含めた運営体制強化を進めるよう指摘されていた。しかしながら、事務局職員が短期間で異動し、ジオパーク全体を見渡して調整・コーディネートする機能が弱いこと、全国大会や研修会などで培われ共有されてきた日本のジオパークの経験やノウハウ、JGC(日本ジオパーク委員会)の審査の意義などが引きつがれていないことなど、事務局の強化が十分で無いことは明らかである。
 さらに、本来であれば活動初期に作成されて定期的に更新される基本計画や実施計画は存在せず、多くの主体と活動内容や目的や将来像を共有する意識が見られない。
 ジオパーク事業の根幹である地質遺産の保全については、その特性や価値に合わせた保全方針の策定に至っていない。教育については、関心のある教員等の個別の活動は存在するものの、それらをジオパークとして支える体制が構築されていない。拠点施設の展示や設置については、ジオパークとして質や内容を担保する仕組みが無いこと、ガイドが開拓したジオストーリーを展示等に反映する仕組みが無いことなど、各々の活動の枠に閉じているように見え、主体を超えた連携に基づく茨城県北ジオパークとしての表現に至っていない。
 以上より、前回審査での指摘事項への対応並びに、本来ならばジオパーク認定前後に実施されるべき課題への対応状況が不十分であることから、認定取り消しとした。

2.優れている点
 茨城県北ジオパークは地球科学的価値を有し、企業や「インタープリター」と称するガイドグループ、大学生による活動が非常に活発であることが高く評価でき、その活動の中には、全国のジオパークの模範となるようなものもある。
 茨城県北ジオパークにおけるジオツーリズムは、各自治体におけるジオネットや会員県市町村、会員企業によって積極的に展開されている。首都圏から比較的近い立地であり、ジオサイトと有名な観光地や見どころがほぼ同一とも考えられ、ジオツーリズムの集客力は比較的高い。この他、各ジオネットでは、各エリア内でのジオツアーを年数回実施しており、こうしたジオネットの地道かつ確実な活動が茨城県北ジオパークとしての実質的な活動をこれまで支えてきた。
 ガイドの育成に関しては、茨城県北ジオパーク推進協議会・茨城県県北生涯学習センター・筑波銀行の3者連携事業として、平成25年度からインタープリター養成講座が開催されており(毎年2ケ月かけて3回座学、2回現地実習の計5回の講義)、インタープリターの養成は積極的に展開されている。
 インタープリターが自主的に作り上げた地域毎のガイド団体のネットワークであるジオネットの事務は各地域のインタープリターの代表者が担い、日頃からガイド技術やその質の担保のために情報共有を行なっている。また、ジオネットが所在する自治体との関係性は、10市町村が正会員になったことで連携が始まっており、ジオツアー等の活動の窓口が行政の観光や企画系の部局に設置されるようになった。自治体は、ジオネットの活動を後方支援するスタンスとなり、前回審査以降、市町村との連携が改善し始めており、「インタープリター」自身の感想からも連携強化を確認できた。
 推進協議会正会員である筑波銀行と市町村は、連携協定締結を行い、連携協定の一環として構成自治体め一部について、ジオパーク情報を掲載した旅行雑誌を発行作成している。また、銀行会員については、窓口へのパンフレット設置だけでなく、インタープリターのトレーニングを受けた職員の配置、各種PR活動へも積極的に協力参加している。
 この他、地元老舗和菓子店では、学生と共同開発された「ジオどら」を販売している。学生の仕意団体「地質情報活用プロジェクト」は、地元ガイドや自治体との協力によるリーフレットの作成、地元企業との連携による新商品の開発、プロモーションビデオ撮影制作等の事業に関わり、ジオパーク事務局だけではなし得ない連携と成果を生み出している。地元食材を利用した「ジオ丼」を製造販売している地元企業は、主にハイキングやジオツアー等にジオ丼を供給販売している。さらに、ジオパーク事業に理解を示し観光客取り込みのために連携を希望している企業もある等、地元企業の熱意は、他ジオパークで見られない素晴らしいものがある。この動きも茨城県北ジオパークの実際の活動を牽引してきたといえる。

3.今後更なる改善を期待する点
。魁腺気年の計画の作成が急務である。茨城県北ジオパーク全体として目指す方向を明確にし、各ジオネット、会員県市町村、会員企業と連携し、ジオパークとしての活動を通じた持続可能な開発に関する目標等を共有する必要がある。さらに、事務局体制はジオパーク運営の根幹となるものであることから、その必要な人員数や体制、事務局の設置場所等について、協議会でよく議論した上で予算措置も含め決定することが必要である。また、ジオパーク活動に地域住民の声を取り入れるなど、ボトムアップによる運営が望まれる。計画には、これらのことをどう実現していくかをまとめることが求められる。
▲献パークの活動の本質を理解し、日本ジオパークネットワーク(JGN)に参加する意義を明確に持つ必要がある。JGNを積極的に活用するだけでなく、茨城県北ジオパークがJGNや世界のジオパークの活動にどう貢献していけるのかを検討し実行する必要がある。
A甬泙縫献サイトの構成要素とその保全対象範囲を明確化し、ジオパークとしての地質遺産の保全方針を立て、関係者で共有する必要がある。そして、ジオパーク境界を各種資料並びに現地でも分かり易く表示してほしい。また、実質的に保全の中心的役割を担っている各地域単位のジオネット活動を全体的にサポートする体制の構築が必要である。
だ瀉峇波帖Φ鯏聖楡漾主要施設等での情報発信の在り方を考え、試行を繰り返しながら推進する必要がある。また、看板や展示等の情報について、学術的な正確性も保持しつつ、観光客や訪問者やガイドを対象とした調査に基づき、分かりやすく効果的に改善してほしい。
ッ老礎麓前篁困搬召亮然遺産、無形有形の文化財等の有機的な繋がりを明らかにし、来訪者への見せ方等を再考し、一般の来訪者がジオパークに理解と関心をもてるよう、ジオストーリーの改善が必要である。このため、多分野の専門家やインタープリターが協力し、情報を整理して調査を行い、ジオストーリーを再構築するなどの研究活動が必要である。そのような活動を協議会は支援する必要がある。
λ漂匈惱を含めて、いずれの教育プログラムも、茨城県北ジオパークとして体系的に実施していく必要がある。今後、各自治体の教育委員会等と連携し、さらなる教育活動の推進が望まれる。
Д僉璽肇福璽轡奪廚砲弔い討蓮引き続き地元企業等との連携・協力関係を維持・強化し、茨城県北の特色を活かしたジオパーク活動に繋げていく事が望ましい。今後、地場産品の利用や環境負荷の低減、資源管理などの「持続可能な開発」とその目標の考え方に基づき、パートナーとジオパークの両者の価値が高まるような連携を進めてほしい。
╋┻腸餔である自治体は、推進協議会の正会員として、より実質的な関与をすべきである。また、地域コミュニティの参加を一層促進するために貢献してほしい。