公明党所有者不明土地問題等対策プロジェクトチーム
 2月1日、公明党所有者不明土地問題等対策プロジェクトチームは、所有者不明土地の利用円滑化に関する特別措置法案について、関係省庁と意見交換を行いました。
 この法案は、所有者が分からず放置されている土地について、新たに利用権を設定し民間事業者や自治体が公園などの公益事業に活用できるようにするものです。利用期間の上限は10年で、所有者が現れても了解を得られれば延長もできます。
 道路や河川などの公共事業などで利用する場合の土地収用の手続きも簡略化します。都道府県知事の裁定で所有権を取得できるようにして、街づくりに遅れが出ないようにします。
 出席議員からは、「利用権設定後に所有者が現れた場合の対応を万全にすべき」「きめ細かく対応できる相談窓口の拡充を」などの意見が出されました。
 また、所有者不明となっている共有の私道について、法務省は、工事を円滑に行うためのガイドラインを提示。陥没の補修など、共有者全員の同意を得る必要がない35の事例をあげて、工事時間の短縮をめざす考えを示しました。
 所有者不明土地を巡っては、不動産登記などの所有者台帳からは現在の持ち主をすぐに特定できない土地が、2016年に全国で410万ヘクタールに達するとの試算されています。対策を講じないまま2040年まで推移すれば、北海道本島(約780万ヘクタール)に迫る規模になるとの推計されています。
所有者不明土地問題研究会が提言
不明土地の推移 増田寛也元総務相ら民間有識者でつくる「所有者不明土地問題研究会」は、所有者がわからない土地に関する問題の最終報告を、昨年12月にまとめました。国や自治体が利用できる土地は所有権を放棄できる制度や、不動産登記や戸籍情報などの統合データベースの構築を提言しました。5〜10年程度の集中期間に所有者を特定する「現代版検地」の実施も提案しました。

 現在は土地を相続した人が離れた場所に暮らしていたり、活用や売却ができなかったりする場合、登記を放置する人もいます。こうした事情が所有者不明土地を生み出す背景にあるとして、受け皿となる新組織の立ち上げを提案しました。
 新組織は公的機関に近いイメージで、所有者の相談に応じたり、国や自治体に土地の取得を打診したりします。公的利用が見込める土地は国や自治体が取得します。それ以外の土地は新組織が活用したり、民間に売却したりする。増田氏は「土地の準公有化につながる組織になる」と指摘しました。
 土地情報のデータベース「土地基本情報総合基盤」(仮称)は固定資産課税台帳や不動産登記、戸籍、住民基本台帳を電子的にひも付けします。所有者探しにつながる情報を増やし、所有者不明土地の発生を防ぐのが目的です。
 こうした対応に合わせて、不明土地の所有者を集中的に確認する「現代版検地」も実施を提案しました。一定期間、所有者から申し出がなかった場合は、その土地は新組織が利用できるようにします。
参考:所有者不明土地問題研究会
http://www.kok.or.jp/project/pdf/fumei_land171213_02.pdf