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 まもなく東日本大震災から7年。世界中の顔も知らない人同士がつながることが可能なインターネット交流サイトSNSは、大震災や熊本地震などでも、電話が不通の中での安否確認や、支援物資提供の情報発信などで貢献しました。ただ、被災地支援に役立つ一方、弊害もあり、災害時のSNS活用のあり方が問われています。
 東日本大震災でSNSが活用された好事例に、「大震災『村つぎ』リレープロジェクト」があります。居住エリアごとに開設される地域SNSの会員同士が連携。被災地の子どもたちに学用品を贈るため、広島から静岡、東京などを経由して盛岡市まで、全国20の地域SNSの会員が車に支援物資を積みながらリレー方式で送り届けました。
 この地域SNSとは、2005年総務省によって予算化され、予算としては1億1000万円が計上されました。地域を限定としたクローズなSNSで、実名登録、入会は紹介制、サイトによっては写真の掲載などが義務付けられたものもありました。それぞれの地域の中で、顔の見える関係の中でのコミュニケーションツールであった地域SNSの面目躍如といったところです。
 ただ、困っている人を助けたいという善意が、かえって混乱を招く側面もあります。熊本県益城町によると、熊本地震の際、ある避難所で「ミルクを配っている」という投稿が広まり、無くなってしまった後も被災者が殺到しました。逆に、避難所で水やおむつが充足した後もSNSの情報拡散で物資が届き続け、余ってしまったこともあったといわれています。
 東日本大震災の際、井手よしひろ県議は県の災害対策本部に詰めて、ツイッターを中心にSNSの情報をウォッチしていました。どこそこの避難所で、こうした避難物資が不足して困っていると情報が数多く発信されていましたが、その多くはすでに救援物資が配られたり、本当は別の物資が必要だったり、情報の修正に大変苦労した思い出があります。
 地震直後にツイッターで「ライオンが動物園から逃げた」とフェイクニュースが拡散した事例もありました。最初に投稿した20歳の男性は、熊本市動植物園の業務を妨害したとして偽計業務妨害の疑いで逮捕されました。このツイートは、1万7000回以上もリツイートされ、熊本市動植物園には問い合わせなどの電話が100件を超えたと当時報道されました。
 災害時のSNS利用は、その情報の真偽を十分に確認する必要があります。発信元が信頼できない情報をむやみに信じてはいけません。当然、リツイートしたり、シェアしるのは禁物です。
 そこで必要になるのは、信用に足りる公的機関の存在です。様々な災害に関する情報は、最寄りの自治体のサイトに集約する仕組みを作るべきだと思います。緊急の物資などの一般市民の協力が必要な場合は、公的SNSサイト(ツイッターやフェイスブックなど)から、その情報を発信します。
 井手県議は、3月5日行った県議会代表質問で、こうした双方向性がある防災情報ネットワークの構築を、大井川知事に改めて提案しました。