気象庁防災支援チーム
 5月1日気象庁は、災害の発生時や災害が予想される時に、専門知識を持った職員を自治体に派遣する「気象庁防災対応支援チーム」(JETT=ジェット)を創設しました。台風や地震、火山噴火などの自然災害から住民を守るため、迅速かつ的確なサポートを期待したいと思います。
 JETは、全国の気象庁職員のうち大雨や地震、火山など各分野に詳しい約1400人で構成されています。
 これまでも気象庁は、災害が発生するたびに職員を被災地に派遣してきました。しかし、大規模な自然災害が頻発する中、事前対応も含め、よりスピード感のある対応が求められていました。JETTの創設により、適切な人員を迅速に派遣できる態勢を整えた意義は大きいといえます。
 派遣された職員は、都道府県や市町村の災害対策本部に常駐し、最新の気象情報をリアルタイムに把握しながら、被災地が求めるきめ細かな気象情報を伝えていくことになります。
 例えば、台風の接近などで大雨が予想される場合は、今後の雨量の見通しなどの情報を分かりやすく提供し、市町村による避難勧告や避難指示などの判断を手助けします。地震や火山噴火では、今後想定される事態について解説し、対策に役立ててもらいます。
 小規模な自治体ほど、気象や防災に詳しい職員は少ない上、ひとたび災害が発生すれば、さまざまな問題への対処に忙殺されます。それだけに、気象庁職員による的確な情報提供やアドバイスは心強いはずです。
 JETT創設に向けた準備が進められる中、昨年(2017年)7月の九州北部豪雨や今年1月の草津白根山の噴火、4月に大分県中津市で発生した大規模な山崩れなどにも、被災地周辺の気象台から職員が派遣されています。
 派遣職員を受け入れた自治体では「地域を絞った雨量予測は住民避難や救助活動の判断に参考となった」「気象の専門家が常駐してくれると、聞きたい時にすぐ聞けるのでありがたい」と好評です。
 JETTの創設と合わせ、気象庁は今年度、自治体の防災担当者向けに気象情報を読み解く力を養う研修・訓練を実施します。地元気象台と自治体との連携を強化する取り組みの一つとして重要です。