最近、よく話題にのぼる I T用語に“5G”という言葉があります。5Gとは第5世代(5th Generation)移動通信システムのことです。
 私たちの使っている携帯電話の歴史は、1979年に日本電信電話公社(当時は電電公社と呼ばれていました)が開始した第一世代のアナログシステムで幕を開けました。自動車電話やショルダーフォンの登場でした。
 その後、1993年にデジタル方式の第2世代が開始されました。2001年には数Mbpsという高速データー通信が可能な第3世代がスタートしました。デジタル化によって写真を撮り、送受信するという「写メ」機能や文学・画像データーをやり取りする「iモード」機能などが登場し、携帯電話は通話のツールという次元を大きく超えて発展してきました。
 2010年代に入ると、より高速な100Mbpsクラスのデータ通信が可能な第4世代が登場。携帯電話からスマートフォンに、その姿を大きく変貌させました。2017年8月より、NTTドコモは、下り最大788M b p s をうたった「Premium4G」サービスを開始しています。今では、スマートフォンで映像コンテンツを視聴することや、テレビ電話機能で相手の表情を見ながら会話することは、あたり前のこととなりました。
 第5世代の5Gでは、高速化が更に進みます。5Gは東京オリンピック、パラリンピックに向けて、2020年に社会実装が急がれている通信方式です。
 ユーザーが体感できるデータ伝送の容量は、4Gの100倍、1秒間に伝送できる容量は1000倍となります。最大で20Gbpsもの通信速度が実現できるといわれています。
 5G が注目される理由は、実は高速化、大容量だけではありません。

IoTの基盤としての5G
 時代はIoT(モノのインターネット)の時代に大きく大きく移行しています。現在のパソコンやスマートフォンなどといったIT機器だけではなく、センサや産業機器、家電、自動車などのモノまでもがネットワークに接続される時代を迎えるという事です。
 例えば、バス会社がバスにGPSや赤外線、センサーなどを搭載し、乗客の乗降を逐一把握することで、停留所ごとの乗客数や停留所間の乗車人数、路線上での位置や運行時間を把握します。その結果を分析すれば運行ダイヤの改良、バスのタイプ、停留所位置の変更などで効率的なバス運航が可能となります。
 自動車にGPSが登載され、その位置や移動速度、方向などがセンサで関知され、ネットワークで集約されれば、信号の統制や車線の変更などの交通規制など有機的に行うことが出来ます。大規模な自然災害や台風などの影響にも的確に対応できるようになります。
 家庭用電化製品がネットワークに接続されれば、電力のピーク時にエアコン設定温度を数度上げて、電力消費量をコントロールするといったことも可能となります。こうしたシステムが稼動すれば、日本には原子力発電所は必要ないという識者もいるほどです。
 こうしたIoTには、単なる高速・大容量化だけでは解決できない課題があります。
 IoT向けの通信とスマートフォン向けの通信とは、その特性が異なります。
 例えば家電品やスマートメーター(ネットに接続された各家庭の電力メータ)、農業、公共施設(道路、河川なども含む)に設置する IoTには、大量のデバイス、低コスト、低消費電力、少量のデータトラフィックなどが特徴となります。この多量IoTの特徴は、何といっても「膨大な数の端末の収容」ということになります。
 一方、自動車の運転工場の自動化、遠隔手術などでは「低遅延」や「高信頼」といった要件が不可欠となります。高速、大容量化といった4Gまでの流れとは、別次元の5G技術が必要となります。

地方創生のツールとしての“5G”
 こうした5Gの通信環境が整備されると、地方にはどのような変化をもたらすでしょうか?
 まずは、河川や急傾斜地には、ネット対応のセンサーが隈無く設置されることとなるでしょう。河川の洪水や土砂崩れ、堤防決壊が起きる兆候をセンサがとらえ、 迅速で正確な情報を発信し、避難誘導に利用することが出来ます。
 上下水道の漏水や盗水検知のためにセンサを設置すれば、社会資本ストックを有効に活用し、更新を効率的に行うことが出来ます。
 茨城県のような医師不足に悩む地域では、専門家による遠融手術や遠隔診断などの可能性が大きく拡大します。
 自殺やいじめ、医療にかかわる相談窓口も大きく変容します。スマートフォンを活用して双方向のまさに顔のみえる相談体制を構築することが出来ます。
 地域の課題を洗い出し、解決のために5Gなどがどう使えるかを早急に検証することが必要です。地方の需要を見極め、今後の通信網の整備計画づくりにつなげることが重要です。
 ただ携帯事業者が採算を取りやすい都市部から広がっていく可能性が高いのも事実です。5Gの技術を使った自動運転による高齢者の買い物支援や、新規ビジネスの育成など、次世代の通信網を使った地域創生の仕組みを創らなければなりません。人口減少や社会資本の不足が危惧される地方においては、都市部よりも積極的な5Gへの対応が望まれます。