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 オンラインゲームなどに没頭し、生活や健康に支障を来すようになる状態が、「ゲーム障害」という新しい疾患として国際的に位置付けられることになりましら。ネット社会が生み出す新たな病に、真摯に向き合う契機としなければなりません。
 世界保健機関(WHO)が、病気の名称や症状を示す統一基準として広く使われる国際疾病分類の最新版に、ゲーム障害を加えたと発表しました。2019年5月のWHO総会で正式に採択される見込みです。
 これは、ネット依存に陥る人の増加が世界中で社会問題になっているという憂慮すべき事態に警鐘を鳴らしたものです。
 WHOは、「ゲームへの衝動が制御できない」「食事や睡眠より優先する」「仕事や学業に問題が起きても中止できない」といった状態が、1年以上続くのがゲーム障害の特徴としています。
 韓国では過去に、80時間以上オンラインゲームを続けた若者が血栓症で死亡するという痛ましい事故も起きています。
 厚生労働省などの調査によると、わが国では成人約421万人、中高生約52万人にゲームを含めたインターネット依存の恐れがあると推計されています。
 ただし、国内のゲーム依存症に関する詳細な実態は明らかになっていません。国際的に疾患として認定されるこの機会に、まずは実態調査を進める必要があります。
 併せて、予防策の強化や治療体制の充実も必要です。国内で相談できる医療機関は限られており、専門の医師も少ない現実があります。研究の充実なども含めて、早急に対策を進めるべきです。
 特に心配なのが、若年層の依存症です。国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長は「一度依存になってしまうと大人と比べて治りにくい」と警鐘を鳴らします。
 子どもを重症化させないために、家庭や学校がどう対応すべきかという点も、検討課題の一つです。
 ゲームは世界中で多くの人が楽しみ、文化の一つとして定着しています。ゲームをしている人の総数に比べれば、ゲーム依存の人はまだ一部にすぎません。だからこそ、事態が一層深刻化しないうちに手を打っておく必要があります。

 6月18日WHOは、ICD(国際疾病分類)の最新版「ICD-11」に、いわゆる「ゲーム障害」(Gaming disorder)を盛り込むことを明らかにしました。ICDはWHOが作成する死因および疾病の国際的な統一基準で、我が国でも広く使われています。
 ICD-11に関するQandAページによると、ゲーム障害の定義は、「ゲームがそのほかの日常生活に優先し、問題が発生してもゲームを継続、あるいはさらに優先度を高め、それによって個人的、社会的に重大な障害をもたらすような反復的行動が少なくとも12か月にわたって継続する状態」を指します。

What is gaming disorder?
Gaming disorder is defined in the draft 11th Revision of the International Classification of Diseases (ICD-11) as a pattern of gaming behavior (“digital-gaming” or “video-gaming”) characterized by impaired control over gaming, increasing priority given to gaming over other activities to the extent that gaming takes precedence over other interests and daily activities, and continuation or escalation of gaming despite the occurrence of negative consequences.
For gaming disorder to be diagnosed, the behaviour pattern must be of sufficient severity to result in significant impairment in personal, family, social, educational, occupational or other important areas of functioning and would normally have been evident for at least 12 months.