避難所の模様
 大阪北部地震、西日本豪雨、台風21号、そして北海道胆振東部地震。列島はこの夏、いくつもの大規模災害に見舞われました。
 被災地では発災直後、多くの住民が地域の避難所に身を寄せました。今なお避難所で日々を送る人も少なくありません。長引くほどに疲労は深まるばかりです。国や自治体は、避難者の心身ともの健康に十分目配りする必要があります。
 とりわけ避難所の生活環境をどう整えるかは、避難者の体調に直結するだけに重要な課題です。
 2016年の熊本地震では、発災後に体調を崩して亡くなる「災害関連死」が200人に上り、その多くが避難所生活をしていました。中には避難所を敬遠して車中泊を続けていた人もいました。こうした悲劇を繰り返してはなりません。
 内閣府の避難所運営ガイドラインには「約50人に1個のトイレを確保する」「マットや段ボール仕様等の簡易ベッドの導入をめざす」など、避難所の環境整備について具体的な考え方を明記しています。
 ただ、自然災害が激甚化し、頻発していることを考えれば、避難所の生活環境を不断に見直し、改善に知恵を絞る努力を行ってはなりません。
 西日本豪雨や胆振東部地震の被災地は、ダンボールベットが大量に供給され、被災者に喜ばれています。災害時に段ボールベッドの提供を受ける防災協定を段ボールメーカーなどと結ぶ自治体は増えており、7月時点で全国283の市区町村と29の都道府県が締結しています。西日本豪雨では協定に基づき少なくとも広島市に約150台、岡山県倉敷市に約2700台、愛媛県に約千台が運ばれました。
 井手よしひろ県議は、9月6日の茨城県議会代表質問、9月21日の予算特別委員会で、事前防災の観点から避難所の充実を訴えました。現状の1人当たり2平方メートルという基準では、段ボールベットを導入すると、ほとんどスペースがなくなります。ダンボールベットは縦180センチ幅90センチが基本で、1.6平方メートルの広さが必要です。
 そこで注目したいのが「スフィア基準」だ。国際赤十字やNGO(非政府組織)らが、紛争や災害を想定してまとめた国際基準で、「1人当たりの居住スペースは3.5平方メートル」「トイレは20人に一つで男女比は1対3」といった具合に具体例を示しています。日本のガイドラインより手厚くなっています。
 海外で、この基準を採用している国は多く、火山・地震国のイタリアでは、避難所にいる家族ごとにテントを支給したりホテルに宿泊させる体制まで整えています。
 わが国では、徳島県が避難所運営マニュアルに、この基準の一部を盛り込んでいます。地域によって状況は異なるため、全ての自治体に一律に当てはめることは容易ではありませんが、少しでもこの基準に近づける努力は必要ではないでしょうか。
 スフィア基準には「被災者には尊厳ある生活を営む権利がある」との理念が定められています。自宅に戻れない人が生活再建に向けて前向きになれるよう、質の高い避難所への改善を急ぐべきです。