東海第2原発の安全対策
 10月18日、国の原子力規制委員会は、今年9月に再稼働の前提となる新規制基準審査に合格した日本原子力発電(原電)東海第2原発について、設備の詳細設計をまとめた工事計画を認可しました。再稼働に必要な三つの審査のうち、二つ目をクリアしたことになります。11月28日に稼働40年を迎える東海大2原発の20年運転延長を認める運転延長審査もすでに議論を終えており、審査期限の11月27日までに認可される見通しとなりました。
 工事計画の認可は、事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型炉では初めてです。
 原電は今後、審査の焦点となっていた原子炉建屋の開口部を「ブローアウトパネル」と呼ばれる巨大な板で閉じる設備や、全長1.7キロ、高さ20メートルに及ぶ鉄筋コンクリート壁の防潮堤建設、電気ケーブルの防火対策などの安全対策工事に着手します。工期は2021年3月までの予定です。
 費用は約1740億円を想定し、原電は東海第2から電力を受電する東電と東北電力に資金支援を要請。2社とも文書で、工事計画認可を取得した後に支援する意向があることを確認しています。
 ただ、この3つ全ての審査に合格したとしても、再稼働には立地する東海村と県に加え、全国で初めて周辺5市にも拡大された地元同意が必要です。その前提には、半径30キロ圏に住む約96万人の避難計画策定が必要です。
 今年3月、原電と東海村を含む日立市、常陸太田市、那珂市、ひたちなか市、水戸市の6市村が東海第2原発の再稼働にかかわる新たな協定を締結しました。従来、再稼働には立地自治体の東海村と茨城県の同意だけでよかったのですが、新協定では、東海村に隣接する4市と県庁所在地の水戸市の計5市にも広げた画期的な協定です。他の原発立地地域にはない、茨城だけの仕組みです。この独自の取り組みは「茨城方式」と呼ばれ、全国の関係自治体から注目を浴びています。
 新協定では、原電が東海第2原発の再稼働を求めた場合、東海村を含む6市村は原電と事前協議の場を設けて議論します。当然、「6市村のうち、1つでも納得しなければ再稼働しない」ということであり、「6市村は事前了解権を持った」という表現より、私は「6市村は再稼働への拒否権を持った」と表現するのが正しいと考えています。原電側も、「納得いただけるまでとことん協議させていただく」と表明しており、すべての自治体が納得するまで再稼働は行わないと理解すべきです。
 さらに、こうした自治体が再稼働の是非を判断する際は、住民の民意を集約し、定量化する必要があります。各市町村議会、県議会の判断も重要ですが、直接的に住民の意見を聞くことが必要です。住民投票も選択肢ですが、再稼働の是非を世論調査(アンケート)で問う手法も、現実的であると県議会公明党は提案しています。
  東海第2原発の再稼働は、いよいよ行政や政治の次元に委ねられることになります。