派遣写真の年齢構成
 「団塊ジュニア世代」の厳しい現状が浮き彫りになってきています。厚生労働省の「2017年派遣労働者実態調査」で、40代前半の年齢層が最も多く派遣で働いていることが明らかになりました。
 5年前の前回調査で最多だったのが、30代後半だったことから、団塊ジュニア世代が不安定な雇用環境から抜け出せないまま中高年化していることがうかがえます。
 団塊ジュニアは「就職氷河期世代」とも呼ばれるように、バブル経済の崩壊による日本経済の低迷期に20代を過ごさざるを得ませんでした。企業は採用を凍結し、その後も長引くデフレ経済が就職を困難にしました。
 それから約20年。社会で中心的役割を担う働き盛りの年代だが、経済的に安定しない非正規雇用であるため、家庭を築くことを躊躇する人も少なくありません。また、「ひきこもり」が突出して多い事実も気掛かりです。
 このため国は、さまざまな支援策に取り組んでいます。若者の就労を支援する厚労省の委託機関「地域若者サポートステーション(サポステ)」の一部で、今年度から利用対象年齢を44歳まで拡大しました。ただ、中には若者にまじることに気後れして利用できない人もいることから、今後は使い勝手の向上を進める必要があります。
 さらに、来年度予算概算要求で厚労省は、氷河期世代で定職がない人向けの就労支援などを拡充しました。
 前述の実態調査では、派遣労働者のうち4割が正社員化を希望しているものの、職業能力の不足を懸念する企業側は採用に及び腰になっています。正社員化を後押しする施策が重要です。
 公明党の山口那津男代表が参院代表質問で指摘したように、2040年頃に団塊ジュニア世代が高齢者となります。
 この世代が不安定な暮らしのまま現役時代を送り続ければ、高齢者になってからも苦しい生活を余儀なくされることになります。
 団塊ジュニアは比較的人口が多い世代です。一人一人が輝く「1億総活躍社会」を築くと同時に、社会保障制度の持続可能性を維持するためにも支援策を急ぐ必要があります。