児童虐待防止ポスター 11月14日、茨城県議会本会議が開催され、議員提案により「茨城県子どもを虐待から守る条例」(以下、児童虐待防止条例と記述します)が全会一致で可決されました。
 子どもに対する虐待が、深刻かつ重大な問題となっています。児童相談所における虐待相談の対応件数は年々増加しており、昨年度は、全国で13万件を超え、茨城県においても過去最多の2256件の相談が寄せられています。
 虐待は、子どもの人権及び身体等に対する重大な侵害です。さらに、虐待を受けた子どもが親になったときに虐待をしてしまう虐待の連鎖も懸念されており、虐待は、理由のいかんにかかわらず、決して許されません。
 虐待から子どもを守るためには、虐待の予防から早期発見、発生時の迅速な対応、虐待を受けた子どもの自立支援等に至るまで、切れ目ない支援を行う体制づくりが必要です。また、虐待を行った保護者等が再び虐待を行わないよう、支援体制を整備していくことも重要です。
 このため、県、県民、市町村及び関係機関等が一体となって、全ての子どもが虐待から守られ、健やかに成長することができる社会を実現するため、今回、児童虐待防止条例が、いばらき自民党から提案されました。県議会公明党は、虐待を行った保護者の支援などに格別の対応が必要と主張し、自民党案に盛り込まれました。
 児童虐待防止条例では、県、保護者、県民、市町村、関係機関等の責務や役割を規定するとともに、相互の連携協力について規定しています。
 具体的には三つの視点により、県の実施する施策や関係者の取り組みを規定しています。
 一つ目は、虐待の予防・早期発見・早期対応です。子どもを虐待から守るためには、虐待を未然に防止するとともに、発生時には、早期に発見し、早期に対応することが重要です。そのため、子育て支援や、通告・相談をしやすい環境整備、通告等を受けた場合の迅速な安全確認の実施等について規定しました。
 さらに、情報共有の強化のため、児童相談所が把握した全ての児童虐待事案の警察への情報提供や、支援をしている家庭の転出・転入等の場合における適切な引継ぎの実施について規定しました。
 二つ目は、子どもへの支援や、保護者が孤立しない社会づくりです。虐待を受けた子どもの成長を支援するとともに、保護者を孤立させない社会づくりを推進することも重要です。そのため、虐待を受けた子どもに対する援助や、社会的養護、自立支援の充実について規定するとともに、虐待を行った保護者が再び虐待を行わないよう必要な支援を実施することや、地域における活動の推進等を規定しました。
 三つ目は、児童相談所の体制強化や、県・市町村等の人材育成です。虐待相談対応件数の増加が続き、複雑・困難な事案も増える中、現在の組織・人員体制ではすべての事案に迅速かつ的確に対応することが難しくなってきており、児童相談所の設置数や職員数の大幅な増所・増員を真剣に検討していくべきです。また、専門知識等を持ち、虐待に対応できる人材の育成・確保も重要です。そのため、国の基準を超える人数の児童福祉司の配置をはじめ、児童相談所の体制の強化に努める旨規定するとともに、人材の専門性の向上を図るための研修の機会の確保や、地域で虐待防止に関する活動を行う団体等の育成・確保等を規定しました。そのほか、県は、必要な財政上の措置を講ずる旨の規定を設けました。
 この児童虐待防止条例は、告知期間を経て来年4月1日に施行されることなります。