携帯電話のイメージ
 総務省の有識者会議が、携帯電話料金の引き下げに向けた緊急提言案を公表しました。
 国際的に割高とされる日本の携帯電話料金。適正な価格のあり方について、官民が本腰を入れて議論する契機にすべきです。
 通信料金と端末代金を完全に分離し、一定の契約期間を条件に端末代金を割り引く「2年縛り」「4年縛り」といった料金プランの実質禁止を求めています。
 政府はこれまで、携帯大手各社に対して料金プランの見直しを求めてきましたが、料金は高止まり状態が続き、抜本的な改善に至っていません。
 この点で今回の提言案は、販売手法の大幅な変更を携帯各社に迫るものです。これにより、新規事業者の参入が促進されて競争が活発化すれば、料金の引き下げにつながる可能性もあるだけに、提言案が持つ意義は大きいといえます。
 その上で、料金の適正化において何より重要な点は、利用者が選びやすい料金プランを用意することです。
 提言案も指摘しているように、利用者が正確に理解できないような過度に複雑な料金プランは見直しを求めたいと思います。必ずしも必要でないサービスまで上乗せするようなことは避けるべきです。
 企業の目的は利潤の追求であるとはいえ、携帯電話は国民にとって生活必需品です。携帯事業者には一定の公共性が求められることを自覚すべきです。
 まして社会の高齢化は今後も進みます。使いやすい機能と同時に、分かりやすい料金プランに対するニーズは一層高まるに違いありません。
 このほか提言案では、販売代理店の業務に対しても改善を促しています。
 携帯各社は、電気通信事業法に基づく指針で端末代金を「実質0円」にするような販売方法が禁じられていますが、販売代理店は規制の対象外です。こうした現状が、結果的に消費者の利益を損なうことになってはなりません。
 携帯各社の直営店と代理店との販売方法の違いをどう是正していくか。さらに論議を深める必要があります。
 有識者会議は、法改正の必要性も含めた提言を来年1月にも取りまとめる方針です。今後の議論を注視したいと思います。