水道のイメージ
 12月6日、主に各市町村が経営する水道事業の基盤を強化し、計画的な水道管の更新や耐震化などを推進する改正水道法が、衆院本会議で、自民、公明の与党両党や日本維新の会などの賛成多数で可決、成立しました。

改正水道法のポイント
【施設の維持・修繕】
一、事業者に対し、施設台帳の作成・保管を義務付け
【広域連携】
一、都道府県が市町村などで構成する協議会を設置することを可能に
【官民連携】
一、コンセッション方式を導入しやすく
一、料金は自治体が条例で枠組みを決め、国が審査し許可


 水道事業は、人口減少に伴う水の需要減や、単純計算で約130年かかるとされる老朽化した水道管の更新などの課題に直面しています。このため改正法は、事業継続に向けた国や自治体の責務を明確化。適切な資産管理や複数の事業者による広域連携、民間のノウハウを活用する官民連携の推進なども盛り込まれました。
 水道事業者に対しては、施設の維持・修繕の基礎となる施設台帳の作成・保管を義務付けます。また、市町村を超えた事業の広域連携に向け、都道府県の役割を明確化して調整を行いやすくします。
 蛇口やトイレなどの給水装置の工事をする工事事業者の指定制度についても、業者の資質を保つため、5年ごとの更新制となります。
 官民連携については、自治体の水道事業者としての位置付けを維持したまま、民間運営ができるようにする「コンセッション方式」を導入しやすくします。ただ、あくまでも官民連携の選択肢を一つ増やすものであり、導入するかどうかは各自治体の判断によります。導入する場合も議会の議決と厚生労働相の許可が必要。事業の最終責任は引き続き自治体が負い、自治体による業務状況の監視や条例による料金の枠組み設定などで、適切に事業が継続・運営されるようにします。

 改正水道法で大きな話題となっているのが、コンセッション方式の導入です。
 コンセッション方式はPFI(民間資金を活用した社会資本整備)の一つです。運営権を売却するには、現行は自治体が事業認可を返上する必要がありますが、自治体が認可を持ったまま売却できる仕組みとなります。民間の経営ノウハウを取り入れてコスト削減を促すのが目的です。
 これまで上水道事業で導入実績はありませんが、宮城県や浜松市が導入を検討しているといわれています。民間事業者は、運営権の対価の費用を支払う代わりに、自治体の条例の範囲内で水道料金を設定できます。国の立ち入り検査を可能とし、災害時の復旧対応は自治体が共同責任を負います。
 命の水を民間事業者に渡してよいのかとか、外国での失敗の事例がことさら取り上げられていますが、あまりに実態のない反対意見には霹靂とします。