子どもの貧困率の推移
 全ての子どもたちが、希望を持って暮らせる社会づくりは喫緊の課題です。
 経済的に困窮する子どもを教育や生活、経済面から支援する「子供の貧困対策に関する大綱」の見直しについて、内閣府の有識者会議の論議がスタートしました。来年夏の取りまとめをめざします。
 日本の2015年の子どもの貧困率は13.9%です。前回12年調査に比べ2.4ポイント低下したとはいえ、7人に1人が貧困状態にあるという現実は看過できません。子どもの貧困対策は国の最優先課題の一つです。
 公明党の主導で2013年に成立した「子どもの貧困対策推進法」に基づき、14年に閣議決定された現大綱は、教育費負担の軽減や保護者の就労支援などを掲げています。
 大綱を基に政府は、困窮世帯への学習支援や給付型奨学金の創設、児童扶養手当の拡充などを進めてきました。その結果、生活保護世帯やひとり親家庭、児童養護施設の子どもの高校、大学進学率が上昇しました。“貧困の連鎖”を断ち切るために欠かせない教育格差の是正が着実に進んでいます。
 しかし、一般世帯の進学率と比べると、特に大学進学率で大きな開きがあります。給付型奨学金の拡充など教育費負担の一層の軽減が必要です。
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 加えて指摘したいのは、暮らし全般への支援の強化です。この点、民間の力を活用する視点も重要です。
 近年はNPO法人が運営する子ども食堂や、教員OB・大学生らによる学習ボランティアが全国に広がっています。
 京都市は大手コンビニチェーンなどと協定を結び、店舗の閉店や改装時に発生する加工食品や文房具の在庫について、子ども食堂などを通じて子どもたちに提供する活動を展開しています。
 NPOや企業などの取り組みを後押しすることは、現場のニーズに応じたきめ細かい支援につながります。有識者会議の主要な論点の一つになります。
 貧困率が50%を超える、ひとり親家庭の収入をどう安定させるかは、最重要の課題です。職業訓練や学び直し支援の充実が検討課題となります。これに関連し、未婚のひとり親家庭の負担軽減を来年度税制改正で実現させるべきです。

子どもの貧困対策に休眠預金の活用の活用も
 金融機関に預けられたまま10年以上取引がない「休眠預金」を福祉や教育などの公益活動に活用する取り組みが、来年(2019年)1月から始まります。
 預金者の転居や死亡などを理由とする休眠預金は、毎年700億円ほど発生。今年1月の休眠預金活用法の全面施行を受け、NPOなど民間の公益活動に休眠預金が使えるようになりました。
 具体的には、経済的に苦しい家庭の子どもたちに食事を提供する「子ども食堂」の運営や、若者らの自立支援といった分野に充てられることが想定されています。
 休眠預金になると、現金自動預払機(ATM)は利用できなくなりますが、金融機関の窓口に通帳や身分証を持参すれば払い戻しが可能です。