風疹ワクチンの接種状況 12月11日、首都圏などで感染が拡大している風疹について、厚生労働省は定期予防接種の機会がなかった現在39〜56歳の男性を対象に、2019年から21年度末までの約3年間、全国で原則無料でワクチン接種を実施する方針を発表しました。
 風疹は、妊婦が感染すると、赤ちゃんが難聴や心臓病、白内障などになって生まれる可能性があります。
 無料接種の対象は1962年4月2日〜79年4月1日に生まれた男性です。これらの男性は抗体保有率が約80%と他の世代より低く、予防接種法上の定期接種に位置付けて原則無料化し、東京五輪が開幕する20年7月までに85%以上へ引き上げることをめざします。
 ワクチンを効率的に活用するため、対象者はまず抗体検査を受け、結果が陰性だった場合に限って予防接種を受けます。18年度第2次補正予算などにより、抗体検査も原則無料となります。
 対象者は居住地の市区町村内の医療機関で抗体検査や予防接種を受けますが、企業の勤務者は、職場の健診の際に抗体検査を受けられるようにします。既に先行して無料の抗体検査を実施している自治体もあることを踏まえた公明党の主張を受け、厚労省は、統一して対策を進めるためのガイドラインを作成します。
 公明党内では、より多くの人が抗体検査を受けられるように「大型の商業施設などで実施してはどうか」などの意見が出されています
 風疹対策について、公明党は、山口那津男代表が11月20日、「第2次補正予算案に対策費用を盛り込み、全国的な感染防止策を総合的につくってもらいたい」と訴え、今月3日に石田祝稔政務調査会長が政府に提出した要望書に盛り込むなど、強力に推進してきました。
感染力の強い風疹ウイルス
 風疹は、感染力が強い病気で、風疹ウイルスの感染で起こります。風疹の感染経路は飛まつ感染と接触感染で、感染者のせきやくしゃみ、会話などで風疹ウイルスを含んだ飛まつが飛び散り、その飛まつを鼻や口から吸い込むことによって感染します。会話をしているだけでも風疹ウイルスを含んだ飛まつが1〜2メートルくらいは飛び散ります。
 風疹ウイルスに感染すると、平均16〜18日間ほどの潜伏期間を経て発症。ただし、風疹ウイルスに感染しても15〜30%程度の人は、抗体はできるが症状は現れない不顕性感染となるとされています。症状が現れない不顕性感染の場合でも、気づかないうちに周囲に感染を広げてしまうことがあるため、注意が必要です。
 前回大流行した2013年の調査では、風疹の患者数は女性よりも男性のほうが約3倍多くみられました。感染場所として最も多いのは、職場だといわれています。また、妊婦が感染すると、生まれてくる赤ちゃんに先天性風疹症候群という病気が起こる可能性がありますが、妊婦への感染経路として最も多いのは、夫から妻への感染です。
 先天性風疹症候群を防ぐためには、男性を含めて風疹を予防することが重要なのです。

ワクチン接種で、風疹を予防できる
 風疹は、風疹含有ワクチンを接種することで予防できます。風疹の予防接種は、主に内科や小児科などで受けられます。風疹ワクチンは、1回の接種だけでは、20人に1人は抗体ができないと考えられているため、2回の接種が勧められます。2回接種する場合は、1回目から最低でも1か月以上の間隔をあける必要があります。風疹の予防接種には、MRワクチンの使用が推奨されています。