さい帯血移植 先の臨時国会では、出産時に採取され白血病治療などに使われる、さい帯血移植について、国が許可した「公的バンク」以外の事業者による取引を原則禁止する改正造血幹細胞移植推進法が成立しました。個人の委託を受け、さい帯血を保管する民間バンク「つくばブレーンズ」から流出したさい帯血が販売され、医療機関で使われた事案を受けた対応で、施行は2019年3月です。適切な提供体制を守るため、2012年に移植推進法成立を推進した公明党が改正を主導しました。
 これまでは非血縁者に提供される、さい帯血について、民間業者が保管や販売のみを行ったり、造血幹細胞移植用として取引したりすることは規制の対象外でした。今後は公的バンクが委託した場合などを除いて違法となり、3年以下の懲役や300万円以下の罰金が科されます。さい帯血を預けて、自分自身が使うことは認められます。
 さい帯血を巡っては、造血幹細胞移植推進法に基づき、採取から引き渡しまで一貫管理する全国6カ所の公的バンクにより、非血縁間の移植に用いる、さい帯血の提供体制が確保されています。一方、民間バンクでは、本人やその親族が再生医療や移植に将来利用する場合に備え、保管費用を払って、さい帯血を預けています。
民間バンク破綻による流出事案受け法改正
 ところが昨年、経営破綻した民間バンク「つくばブレーンズ」から流出したさい帯血が販売業者、仲介業者を経て、医療機関で使われた事案が発覚。現行法では想定していない取引であり、こうした業者の取り締まりができないという課題が浮上しました。
 このため公明党は、党造血幹細胞移植推進プロジェクトチーム座長らが法改正を推進。改正法は衆参両院ともに全会一致で可決され、12月10日に成立しました。
 日本造血細胞移植学会の岡本真一郎理事長(慶応義塾大学医学部内科学主任教授)は「さい帯血が非医学的、非倫理的に使われた事案が発覚し、憤りを覚えたが、今後このような不適切な事態が起こらないよう、法律がより完璧な形にバージョンアップされた」と高く評価しています。

いち早く対応した公明に感謝
NPO法人さい帯血国際患者支援の会 有田美智世理事長

 造血幹細胞移植用のさい帯血は、公的バンクがしっかりと運営されており、安全性や品質が確保された、さい帯血が提供されています。一方、公的バンク以外の事業者に対する規制はなく、私たち関係者の間でも心配の声が上がっていました。
 その上で、昨年の事案発覚を受け、公明党は、この問題にいち早く対応し、解決に向けて取り組んでくれました。大変に感謝しています。