液体ミルク
明治と江崎グリコによる製造を承認、育児の負担軽減や災害備蓄に期待
 1月31日、公明党が製造・販売の早期解禁を推進してきた国産の乳児用液体ミルクについて、厚生労働省は、明治と江崎グリコによる製造を承認しました。これまで輸入品しかなかった液体ミルクの製造承認は初めてです。消費者庁の販売許可を得て、液体ミルクの商品が今春にも発売されることになります。
 乳児用液体ミルクは、ふたを開けて吸い口を装着するなどすれば、すぐに飲め、常温で半年から1年の長期保存ができるのが特長です。手軽に使えることから、特に夜間や外出時の授乳で効果を発揮すると期待されています。また、粉ミルクのようにお湯で溶かす必要がないため、災害時の備蓄品としても活用できます。
 明治はスチール缶入り(240ミリリットル)、江崎グリコは紙パック入り(125ミリリットル)を計画しています。価格は粉ミルクに比べ割高になるとみられます。
 両社とも母乳に代わる「特別用途食品」として販売するには、今後、消費者庁の許可が必要となります。
 乳児用液体ミルクについては、公明党女性委員会が2017年2月に液体ミルクの普及に向け政府と意見交換を行うとともに、国会質問でも早期解禁・普及などを主張しました。これを受け、政府は、昨年8月に改正厚労省令を施行し、国内での製造・販売が解禁されました。
 ただし、昨年9月に起こった北海道胆振東部地震の際は、行政担当者間の連携がうまくいかず、せっかく輸入され被災地に送られた液体ミルクが使われなかった事例が発生しました。液体ミルクに関する周知徹底を行う必要があります。
熊本地震ではフィンランドの乳製品メーカー「ヴァリオ」が5000個を提供
 乳児用液体ミルクは、牛乳にビタミンなどの栄養分を加えたもので、成分は粉ミルクと同じです。粉ミルクと違ってお湯で溶かす必要がなく、封を切ればそのまま飲めるため、災害時の備えとして有効です。
 2016年の熊本地震に際は、西日本新聞によると、フィンランドの乳製品メーカー「ヴァリオ」が、日本フィンランド友好議員連盟の呼び掛けに応じ、200ミリリットル入り紙パック約5000個が無償で提供されました。
 熊本県庁を通じて、西原村や益城町、熊本市など被害の大きかった自治体の保育所に配られ、実際に使用されました。
 熊本地震では、液体ミルクは海外では普及しているものの、日本では長らく法令上、製造販売が認められていなかったため、厚労省が特例で救援物資としての配布を認めたものです。

北海道胆振東部地震では、北海道庁に送られた1000個以上の液体ミルクが使われず
 一方、時事通信社によると、北海道胆振東部地震では、東京都が乳児用液体ミルク1050個を北海道庁に提供したものの結局1個も使われませんでした。
 北海道庁は避難所やミルクが行き届いていない家庭に届けてもらうため、被災した厚真、安平、むかわ、日高、平取の5町に約200本ずつを配布しました。  
 しかし、北海道新聞によると、道庁の災害対策本部などの職員が、胆振、日高両総合振興局や道立保健所に対し、「液体ミルクは国内で使用例がない」「取り扱いが難しい」として使用を控えるよう各町の担当者や保健師に知らせることを求めたため、ほぼ全量が使われなかったといわれています。