自動ブレーキ実験
 車の運転でブレーキとアクセルの踏み間違いによる交通事故が相次いでいます。
 公益財団法人交通事故総合分析センターの統計によると、2017年の1年間で4722件発生しており、看過できない数です。踏み間違いによる事故の割合を年齢別に見ると、75歳以上の高齢ドライバーが最も多く、24歳以下も目立ちます。免許を取得したばかりで、運転に不慣れなことが主な理由です。
 事故防止には、センサーで前方の車や歩行者を感知し、衝突の危険があれば車を自動で止める自動ブレーキを搭載した運転支援車の普及が有効です。公明党も政府に取り組みを働き掛けています。
 注目すべきは、自動ブレーキに関する国際的なルールづくりが加速していることだ。
 2月12日、国連欧州経済委員会(UNECE)は、自動ブレーキの搭載を義務付ける規則案に合意しました。UNECEの下部組織「自動車基準調和世界フォーラム」が、安全な自動車を普及させるための国際基準の策定などを進めていました。
 今回の規則案の作成を主導しているのは、日本や欧州連合(EU)など40カ国・地域です。6月の同フォーラムで採択し、2020年に発効する見通しとなっています。規則が発効すれば、日本では、年間400万台以上の新車に自動ブレーキを搭載することになります。
 踏み間違いによる交通事故は、国際的にも深刻な問題となっています。例えば、EUでは、この事故による死者が16年の1年間で9500人を超えており、自動ブレーキの導入が急がれています。
 日本では既に、6割以上の新車に自動ブレーキが搭載されています。これにより、人身事故は約6割減少し、車同士の衝突事故は8割以上減ったとする大手自動車メーカーの調査結果もあります。
 日本政府は、2020年までに9割の新車に自動ブレーキを搭載するという目標を掲げています。規則案の採択で、目標達成に弾みをつけるべきです。
 一方、規則案の作成には、米国や中国、インドなどが参加していません。これらの国から自動ブレーキが搭載されていない車が、日本に輸出されるという事態は避けるべきです。できるだけ多くの国の参加を呼び掛けることも重要です。

国連 欧州経済委員会、新車の緊急自動ブレーキ装着を2020年初頭に義務化
欧州で1500万台以上、日本で400万台以上に新車装着


 UNECE(国際連合 欧州経済委員会)は2月12日(現地時間)、新車での緊急自動ブレーキ装着を2020年初頭に義務化することで加盟する40か国が合意したと発表した。
 新たに採択された国連規制案は、0km/h〜60km/hで作動するAEBS(Advanced Emergency Braking Systems)を乗用車と小型商用車(乗車定員9名未満の小型バスやバン)に新車装着することを求めるもので、システムの作動に関する標準的な技術的要件を設定。規制の草案が「WP.29(自動車基準調和世界フォーラム)」ですでに承認されており、6月に行なわれるセッションで正式な採択に向けて検討が進められる。この採択を受け、2020年初頭に新しい規則が発効される運びとなる。
 UNECEでは、EUと日本が策定を主導する新しい規制によってAEBSが新車装着されることにより、欧州で1500万台(2017年の販売台数)以上、日本で400万台(2018年の販売台数)以上の新車に人命を救うAEBSが搭載されることになるとしている。(写真は、国土交通省とNASVAが、2016年12月に公開した「対歩行者自動ブレーキ」の安全性能評価デモ)