新元号「令和」
「花」咲かせる願い込め、国書で初、万葉集が由来 
 4月1日、政府は臨時閣議で、新たな元号を「令和(れいわ)」と決定し発表しました。5月1日の皇太子さまの新天皇即位に合わせ、1日午前0時に元号が平成から「令和」に改まります。現存する日本最古の歌集である「万葉集」が由来で、歌人の大伴旅人の漢文から引用しました。確認できる限り、日本の元号の典拠が日本古典(国書)となるのは初めてです。
 菅義偉官房長官が記者会見で、墨書された新元号を発表。安倍晋三首相も会見して談話を読み上げました。首相は「日本の国柄をしっかりと次の時代へと引き継ぎ、日本人がそれぞれの花を大きく咲かせることができる日本でありたいとの願いを込めた」と説明しました。
 「万葉集」の「初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」が典拠です。考案者は公表しません。政府は令和を含む6つの原案を提示しましたが、選に漏れた候補も明らかにしない方針です。
 過去の元号に「令」の字が使われたことはありません、政府関係者によると「令和」が候補となったこともないとみられます。新元号は645年の「大化」以来248番目。これまで日本の元号の由来は確認できる限り全て中国古典(漢籍)でした。
 政府は3月14日、国文学、漢文学などを専門とする複数の学者に新元号の考案を正式に依頼。菅長官が6つの原案に絞り込み、有識者による「元号に関する懇談会」と衆参両院正副議長に提示し、意見を聴きました。全閣僚会議で協議し、臨時閣議で新元号を定める政令を決定しました。令和への異論は出ませんでした。
 発表直前に天皇陛下と皇太子さまに伝えられました。政令は直ちに陛下が署名して官報に掲載、公布されました。5月1日に施行されます。
 改元は、憲政史上初めてとなる天皇退位に伴うものとなりました。国民生活への影響を最小限に抑える観点から、改元1カ月前に発表されました。1989年1月から始まった平成は、4月30日の陛下の退位とともに幕を閉じます。

漢字二文字に理想を表現、元号使用は日本のみ
 特定の年代に漢字の名前を付ける元号(年号)は中国・前漢の武帝の時代から始まりました。ベトナムや朝鮮にも広がりましたが、現在も使われているのは日本だけとなりました。発祥の地である中国では清の滅亡とともに廃止され、現在は西暦が用いられています。
 日本で最初の元号である「大化」は645年に定められました。しかし、続く「白雉」「朱鳥」とも実際にはほとんど使われなかったとみられています。
 4番目の「大宝」(701年)以降、公文書には全て元号を用いると定められたことで定着。「天平勝宝」のように漢字4文字が使われたり、南北朝時代に二つの元号が並立したりした時期もあります。基本的には漢字2文字を使った元号が現在まで切れ目なく続いています。
 江戸時代までは天皇の即位だけでなく吉兆や災害などでも改元していたため、一つの元号の平均期間は短く、十干十二支と併せて使われていたと考えられています。
 明治への改元とともに天皇1代で元号一つとする「一世一元の制」が定められ、天皇と元号の結び付きが強まりました。
 戦後に皇室典範が改正され、元号は法的根拠のない単なる慣習となりました。このため一時は廃止論も唱えられましたが、1979年に元号法が成立。近年はグローバル化の進展もあり、日常生活では西暦使用が拡大しているが、公文書などでは今も原則として元号が使われています。
 元号に詳しい所功・京都産業大名誉教授(日本法制史)は「年の名前を漢字で表すことで、そこに理想や希望を込めることができる。西暦と元号は矛盾するものではなく、うまく使い分けることで日常生活の役に立つ」と話しています。

談話を発表する山口代表
 公明党の山口那津男代表は4月1日午後、国会内で記者団に対し、政府が新たな元号を「令和」と決めたことを受け、大要、次のような見解を述べました。
一、大変、奥行きのある素晴らしい元号になった。1カ月の期間を経て、国民の皆さんに広く浸透してなじんで、令和の時代を迎えたい。国民には平成の時代の平和が長く続くような新しい元号への期待が大きかった。令和の「和」の字は「平和」と国民の「融和」を象徴する大変良い文字だと思っている。
一、典拠の万葉集は、国民に広く親しまれた古典であり、日本人の心の原点とも言える歌集だ。貴人ばかりでなく防人や一般の方々の歌も広く盛り込まれていることから、国民が等しく、それぞれの個性を輝かせていく時代にしたいとの意味が込められた。出典となった万葉集の序文には、自然に関する言葉が使われている。令和には厳しい災害に耐えられる時代をつくっていくとの決意も込めたい。
一、(新元号の発表について)菅義偉官房長官が発表した直後、安倍晋三首相から電話で連絡をもらった。私からは「良い元号になったと思います」と伝えた。