大田仁史先生
シルバーリハビリ体操の考案、普及に情熱を燃やす大田仁史先生に再会
 5月13日、村本しゅうじ県議とともに、リハビリテーション医療・介護の第一人者・大田仁史先生に面会。2014年1月に輿水衆議院議員(当時)らと視察して以来、5年ぶりの再訪問となりました。
 大田先生が考案したシルバーリハビリ体操は、平成17年に県の事業として正式にスタートしました。高齢化の急速な進展に対応するため、地域の高齢者をシルバーリハビリ体操や介護予防知識等の普及活動を行う「シルバーリハビリ体操指導士」として養成する事業です。シルバーリハビリ体操指導士を養成するため、県立健康プラザ及び市町村主催の指導士養成講習会を実施しています。3級から1級の3段階で指導士養成が行われています。3級指導士は解剖運動学や高齢者保健福祉制度の講義、体操の実習等がカリキュラムで、1日5時間合計30時間の講座受講が必須条件。2級指導士は、実践活動の具体的な進め方の実習、体操プログラムの立案と発表等が講習内容で、3級取得後1日5時間5日間合計25時間の講習が必要です。さらに、3級指導士の指導にも当たる1級指導士は、2級所得者で1日5時間4日間合計20時間の講座受講と30時間の実習が必要です。
 かなり厳格なカリキュラムが組まれて追いますが、制度がスタートして11年あまりを経過し、3級取得者は8000人を超えています。
 シルバーリハビリ体操教室に参加してみたい方は、お住まいの茨城県内市町村シルバーリハビリ体操担当課窓口までお問い合わせ下さい。
 また、シルバーリハビリ体操指導士3級養成講習会に参加したい方の要件は、1.概ね60歳以上の茨城県民、2.常勤の職についていない方、3.地域で体操普及のボランティアができる方となっています。問い合わは、茨城県立健康プラザ(029−243−4217)までお願いします。
 シルバーリハビリ体操は、道具を使わず、いつでも・どこでも・一人でも出来る介護予防のための体操です。立つ、座る、歩くなど日常の生活を営むための動作の訓練にもなる「いきいきヘルス体操」や、筋力をつける、柔軟性を高める「いきいきヘルスいっぱつ体操」等で構成されています。「いきいきヘルス体操」は、脳卒中による片まひがある方のための体操で、関節の拘縮(こうしゅく:固くなる)予防のために、寝ていても、座っていても、できるように組み立てられ、筋肉を伸ばすことを主としています。「いきいきヘルスいっぱつ体操」は、日常の生活動作がぎこちない方、肩や膝など運動器官に慢性の痛みのある高齢の方を対象に、筋力強化等を行い、体力の向上や維持をはかることが目的です。
 シルバーリハビリ体操の何よりの特徴は、加齢の方も、麻痺や障がいがある方も、体操を通じて健康的な生活を維持できることにあります。


 5月13日の大田先生との意見交換、講習内容の視察では、新たな構想への熱い思いを伺うことができました。
 人口推計から日本の将来を展望した場合、2つの重要な時期があります。1つ目は、団塊世代が後期高齢者(75歳)に到達する2025年。65歳以上人口は3500万人と、高齢人口が大きく増えるわけではありませんが、高齢者の年齢構成が変化し、要介護リスクが高く、平均医療費も高い75歳以上人口の割合が急上昇するとされています。2つ目は、団塊ジュニア世代が65歳に到達し始め、労働人口が大幅な減少に向かう2040年です。2040年の社会保障費が約190兆円になるという推計が示されており、その社会保障費を誰が負担するのかという厳しい将来像が示されています。
 茨城県が進めるシルバーリハビリ体操事業は、高齢者自らの力で、2040年問題の解決に健康面から挑戦しようということに大きな特徴があります。地域の障害者などを含むいばらき型の地域包括ケア体制を実現する、実行部隊としてシルバーリハビリ体操指導士を活用しようという大きな構想の一環です。大田先生は、シルバーリハビリ体操指導士の体操のスキルや地域を元に、そのネットワークやその他の知見や経験(例えば食事の改良、傾聴活動、移動支援)などを多角的に展開する構想を持っています。その満面な笑顔の奥に、シルバーリハビリ体操で地域社会全体を変えようという、若々しい情熱を強く感じました。
<関連サイト>茨城県立健康プラザ:http://www.hsc-i.jp/04_kaigo/rehabili/top.htm