投票率の推移
 わが国の議会制民主主義の土台が揺らいでいると言わざるを得ません。今回の参院選の投票率は48.80%と24年ぶりに5割を切り、戦後2番目の低さでした。有権者の半数以上が政治参加の機会に背を向けたことを、与野党問わず深刻に受け止める必要があります。
 理由はいくつか考えられます。多くのマスコミが指摘するように、選挙戦を通じて論戦が低調だったことや、春の統一地方選に続いて参院選が行われる亥年特有の“選挙疲れ”が影響した面もあります。
 しかし、何より憂慮すべきは、有権者の政治に対する信頼や期待が薄れているのではないかという点です。朝日新聞(7月24日付)の世論調査の結果によると、低投票率となった理由として最も多かった回答が「投票しても政治は変わらない」の43%でした。
 これは、選挙を通じて「自分の声が政治に届いた」という実感を持たない有権者が多いことの表れではないでしょうか?であるならば、政党や政治家の責任は極めて重いといえます。
 選挙で訴えた政策の実現に粘り強く取り組み、たとえ実現できなくても説明責任を果たしていく真摯な姿勢が重要です。政治を身近に感じてもらうための労作業があってこそ、投票所に足を運ぶ人は増えるです。
 この点、地域に根を張り、他党にはない「小さな声を聴く力」を持つ公明党の役割は、特になものがあります。「議員ネットワーク」を駆使した政策実現力を一段と磨き、「声が届く政治」をリードしていく必要があります。
 投票しやすい環境づくりも必要です。投票所の数は減少傾向にあり、今回の参院選では3年前より858カ所減りました。人口減少や自治体の人手不足が背景にあるとはいえ、高齢者や障がい者をはじめ有権者にとっては不便になります。このため、バスやタクシーによる無料送迎サービスや、投票箱などを積んだワゴン車が地域を巡回する「移動投票所」を導入する自治体が増えています。こうした取り組みを政府も後押しすべきです。
 実現に向けたハードルは高いが、インターネットの活用も検討課題です。投票率向上へ知恵を絞りたいと思います。

現状への不満がポピュリズムを増長する!
 山本太郎氏が代表を務める新撰組、立花孝志氏が主宰する「NHKから国民を守る党(N国)」などの代表されるポピュリズム政党の台頭も、実は既存政党への不満の裏返しとみるべきでしょう。
 「政治をわかりやすくする、政治を面白くする」と、彼らは声高に主張します。そして、有権者に対するパフォーマンスは、そのはけ口となりつつあります。ポピュリズムの危険性を語る前に、政党は自らのこれまでの姿勢を改めて総括しる必要があるのではないでしょうか?