隠れ停電
 台風15号により大きな被害を被った千葉県。復旧に向ての取り組みが懸命に進められています。
 こうした中で、見落とされがちですが、深刻な課題があります。
 それは、被害の改修を自己負担でしなければならないケースです。地元のボランティアや、災害復興支援を続けている専門家から、「隠れ停電」の問題と「私道損壊」の問題が提起されました。

【隠れ停電】
 一般的に「隠れ停電」とのことばは、東京電力がシステム上把握できない停電をさします。東電によると、隠れ停電は電柱から民家などに延びる引き込み線や低圧線の損傷などによる不具合が原因。東電は高圧線の監視システムで停電戸数を数えていますが、引き込み線や低圧線には監視システムがなく、損傷していても把握できません。したがって、停電件数がゼロとなっても、引き込み線が倒れた樹木などにより切断され、「隠れ停電」が続いている住宅があります。
 さらに深刻なのが、自宅敷地内の電線の切断です。災害前は、境界に近い小屋に、引き込み線を引き込んでそこから家に引いていた。その小屋が倒壊したため、直接母屋に引く必要がでてきたが、距離が長いため、敷地内に電柱を建ててそこから引き込むなどの必要が出てきた。電柱は一軒の場合は個人負担で70万円ほどかかり、 高齢者は、その負担に耐えられないという状況が生まれています。
 停電は、今も継続しており、発電機で凌いでいます。境界内の電柱を立てるために、公的な補助が必要です。
私道の損壊
【私道の損壊】
 獣道を自動車が通れるように、自分たちで広げた私道が木が倒れた、土砂が抜けて損壊した場所などがあります。自宅には車があるが、出せないので、私道の手前に別の車を置いて、生活の足を確保しているのが現状です。そこから自宅へは徒歩。行政からは直すためには「費用は自己負担。直すためには数千万円かかる」と言われたそうです。
 こうしたお宅が山間部に複数軒もあるそうです。
 本来は公的な補助の対象とはなりませんが、私道の復旧への自治体や国の補助事業が必要と思われます。
 なお、熊本地震の益城町は、1件当たり1000万円(支援対象経費の2分の1以内)の公的支援を行いました。