大井川知事に要望書を提出
半壊の床上浸水世帯に独自支援を、早期の生活再建支援に補正予算編成を要望
 10月24日、茨城県議会公明党(代表:たかさき進県議)は大井川知事に対して、「台風19号の被害に関する要望書」を提出しました。
 10月12日から13日未明に襲来した台風第19号による記録的な大雨は、茨城県において那珂川や久慈川など多くの河川で堤防決壊や越水を起こし、死者2名・行方不明者1名・負傷者18名の人的被害のほか、全壊家屋246棟・半壊1,917棟・床上浸水552棟・床下浸水607棟など(10月23日14時現在)の甚大な被害を起こしました。
 茨城県議会公明党は、台風第19号の本県襲来前から、あらゆる事態に対応する態勢で準備し、現場第一主義で被災地に飛び込み、被災者に寄り添った救援活動に取り組んできました。
 茨城県は、大井川知事のリーダーシップのもと、きめ細やかな初動対応が展開しました。国に対する要望活動も積極的に行いました。
 初期の混乱が落ち着いたことから、県議会公明党は今後必要な災害対応に鑑み、8つの大項目21項目の要望を大井川知事に提出しました。
 特に、台風19号及び15号被災に対する復旧・復興、生活者支援に資する補正予算を編成し、早期に臨時議会を招集することなどを求めました。
 大井川知事は、被災者支援支援を迅速に進めるために、臨時議会招集に前向きな姿勢を示しました。
 また、被災者生活再建支援法の適用が、全壊、大規模半壊に限られ、半壊との大きな格差があるため、半壊認定の被災住宅等の再建に対して、県独自の生活再建支援制度創設を要望しました。
 知事は、常総水害の被災者支援の枠組みを参考に、独自支援策を検討することを約束しました。
大井川知事への要望活動



台風第19号による大雨等災害に係る要望書

1.補正予算について
  • 台風第19号及び第15号被災に係る復旧・復興、生活者支援に必要とする補正予算を編成し、早急に提案すること。
  • 補正予算は、その執行を遅滞なく行い、被災者の1日も早い県民生活の安心と安全を確保するものであること。

2.激甚災害指定について
  • 本県の激甚災害指定にあたり、県は土木施設や公立学校の復旧などに遺漏なく特例措置の適用を受ける事業の選定に取り組むとともに、仮設住宅の設置期間延長や感染症予防、被災企業勤務者の離職手当支給など被災者の生活に寄り添ったきめ細やかな対応に特段の配慮を行うこと。

3.抜本的な河川改修の推進について
  • 那珂川・久慈川など国管理河川の流下能力不足が指摘される。加えて、今回の水害は、本川から支川へのバックウォーターによる被害拡大が明確である。ついては、国は、県管理河川と一体で河川改修すべきであることを強く国に申し入れ抜本的な河川改修を要請すること。

4.タイムラインの策定推進と情報発出について
  • 「命を守るため」の避難行動が実行できるための避難勧告の発出のあり方を精査検討して、今後の避難対策に活用すること。特に、高齢者や障がい者など要援護者の避難手段について、避難計画の実行性を確保できるよう再構築すること。
  • 那珂川の氾濫に際して国は「氾濫発生情報」の発表が遅延し適切でなかったことが公表された。この事態は遺憾であり、県として国に改善を求めるとともに、県として的確な災害情報の発出の精度を高める手段を検討すること。
  • ダムの緊急放流による河川水位急上昇に対する避難行動について正確な情報提供態勢を整備し、利水と治水の関係調整に取り組むこと。
  • 本県の地域防災計画の、「業務継続計画(BCP)地震編」に加えて「水害編」を策定すること。

5.被災者生活支援について
  • 県は、被災者生活再建支援法の適用を水戸市他3市町に適用したが、被災した他市町村への適用を柔軟におこなうべきである。また、同法の適用は、全壊・解体・長期避難・大規模半壊に限られ、半壊との大きな格差がある。床上浸水となれば建物再建費用に差異はない。県として同法の適用とならなかった半壊認定の被災住宅等の再建に独自の生活再建支援制度を策定して支援すべきこと。
  • 罹災証明の速やかな発行こそ生活再建支援の第一歩である。県は、市町村間の調査判定方法の調整とともに、住宅被害認定調査にあたる人材を派遣して被災者の要請に応える必要がある。加えて、二次調査や再調査による納得性についても周知すべきである。
  • 膨大な災害ごみが発生し、一部の仮置き場は満杯になるなど、被災した市町村が単独で処理することは困難となっており、災害廃棄物の広域的な処理が必要となっている。今も災害ごみの分別や搬出が続いており、高齢者への対応などの課題も生じている状況にある。ついては、県が主導して県内外広域の災害ごみ処分体制を早急に構築すること。
  • 被災者の住居確保が喫緊の課題であり、住宅提供の迅速化と手続きの簡素化により、早期に被災者住宅の確保と運用を図ること。その際、地域コミュニティーを維持し、要援護者にやさしい建設型仮設住宅の設置を検討し、入居対象者を大規模半壊、半壊にまで拡大すること。
  • 医療機器が浸水して診療不能となった病院等へ早期復旧、早期診療再開の支援を行うこと。高額な診療機器の導入等に助成・補助すること。

6.農林水産被害対策について
  • 県は、被害額が35億円を超えたことから、今般農林水産業者に対して「茨城県農林漁業災害対策特別措置条例」を適用し、被災農家の救済に向け、補助金の助成と無利子融資による支援を発表した。これらは、市町村からの申請に基づくが、県として、被災した農家へのきめ細やかな被災状況の理解と農業継続への意欲喚起が必要である。県は本条例をより有効に活用できるよう注力すること。
  • 氾濫した河川からの流木など農地に散乱し農業再開の支障をきたしている。土砂や流木・ゴミなどの撤去にあたり,災害復旧事業を活用し農地の復旧をすること。
  • 台風第15号の農業被害救済策と同様な支援策を講じて整合性を図るとともに、台風第19号により増加した被害金額等の実態をきめ細やかに掌握し、適切な農業経営指導を実施すること。

7.JR水郡線第6久慈川橋梁早期復旧と代替バス輸送について
  • 崩落し流出したJR水郡線第6久慈川橋梁の復旧には、河川管理者である県の久慈川河川改修計画の早期策定とJR東日本との密な連携、協議、方針策定が必要である。本鉄橋復旧工事は測量・設計等を含めて渇水期に限られることから早期復旧への時間的猶予はない。ついては、県は速やかに河川改修計画策定を示し、JR東日本の復旧工事開始を促されたい。
  • 11月1日からJRが運行計画中の、JR水郡線常陸大子駅と西金駅間のJRの朝夜バスによる代行輸送、及び県が実施する日中のバス輸送をJR水郡線再開まで継続するとともに、通学定期代金の取り扱いや観光シーズン増便対応など大子町地域の生活圏維持と観光振興に十分な取り組みをすること。

8.観光地支援、中小企業再建支援について
  • 秋の本格的観光シーズンを前に大きな打撃を受けた観光地と観光産業。風評被害や2次交通被害による旅行控や宿泊キャンセルに対して再建再開の最大限の支援を行うこと。
  • 台風19号被災に関わる「グループ補助金制度」の早期創設を国に求めること。「グループ補助金制度」を積極的に活用して、中小企業の施設再建や経営再建、更に地域産業の復旧・復興を図るために相談体制を整備すること。
  • 県は、平成27年9月関東・東北豪雨による被災中小企業の復興を支援するために、「関東・東北豪雨被災中小企業復興支援基金」を設置した。今般の台風19号による被災中小企業の復興を支援するため、同様の支援を行うこと。