大子町の仮設住宅
 12月2日、台風19号で住宅500棟が浸水するなど大きな被害が出た大子町で、応急仮設住宅の鍵の受け渡しが始まりました。大子町では、10月の台風19号で町内を流れる久慈川が氾濫し、住宅580棟が浸水する被害が出ました。大子町は、町内の2か所に、合わせて15世帯が入居できる仮設住宅が建設されました。
 15件建設された、仮設住宅には今のところ6世帯が入居する予定です。順次、鍵の受け渡しが行われ、被災した人たちが生活再建に向けて、新しい暮らしを始めることになっています。
 大宮町の仮設住宅は大子地区に10戸、袋田地区に5戸が建設されました。入居人数により1DK、2DK、3Kの3通りの間取りがあります。いずれも流し台や風呂、トイレ、エアコンなどが設置されています。常陸大宮市は、木造の移動式住宅(モバイルハウス)を活用したため、発災から1ヶ月かからず11月7日から入居が始まったのに対して、大子町は、従来型のプレハブ型仮設住宅であるため、3週間以上入居が遅れました。
 一方で、建設した仮設住宅に入居を希望する人が想定を大幅に下回ったため、大子町では、引き続き入居者を募集することにしています。
 大子町では、15世帯が暮らせる仮設住宅を建設しましたが、入居を申し込んだのは半分以下の6世帯にとどまっています。
 台風19号の被災直後に地元の消防団や役場の職員が仮設住宅や町営住宅への入居希望者の調査を行いました。そのうえで、2つの地区で15世帯が暮らせる仮設住宅を県に申請し、必要に応じて、増設を検討していました。
 仮設住宅の建設までに時間がかかり、町営住宅や民間のアパートに移り住む人や、国の応急修理制度を活用して修理することを決めた人が増えたため、入居者が少なくなったと考えられています。大子町の担当者は、「まだまだ住居の確保に困っている人も多くいると思われるので、仮設住宅への入居者を募りたい」と語っています。
 そもそも「災害救助法による救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償の基準(平成25年内閣府告示第228号)」では、仮設住宅を「災害発生の日から20日以内に着工し、速やかに設置しなければならないこと」と定めており、従来型のプイレハブ仮設住宅では、対応ができなくなっています。発災後20日以内に着工し、わずか7日間で引き渡しを完了した移動式木造住宅(モバイルハウス)の優位性を明確に証明されました。

仮設住宅の断熱性比較
 さらに、入居した被災者の暮らしやすさ(QOL)の検証も、この機会にしっかり行うべきです。北海道胆振東部地震被災者のために建設された応急仮設住宅の居住性を検証したアンケート結果があります。木造移動式住宅(モバイルハウス)は100%の入居者が、従来住んでいた住宅より暖房の効きが良くなったと肯定的な回答を寄せました。一方、トレーラーハウスは75.1%、従来型プレハブ仮設住宅は68.8%にとどまっています。従来型プレハブ仮設住宅の31.3%は暖房の効きが悪いと回答しています。
 茨城県内の大子町、常陸大宮市の仮設住宅においても、入居者をしっかりとフォローし、その声を十分射吸い上げる必要があります。