出生数の推移
 深刻な少子化の実態を真摯に受け止め、あらゆる対策を一段と加速させていかねばなりません。
 厚生労働省は、12月24日に人口動態統計の年間推計を発表。2019年生まれの子どもの数(出生数)が86万4000人となり、1899年の統計開始以来、初めて90万人を割り込む見通しであることが明らかとなりました。
 国立社会保障・人口問題研究所による「日本の将来推計人口」(17年推計)では、出生数が86万人台になるのは21年(86万9000人)でしたが、少子化は想定以上のスピードで進んでいることになります。
 第2次ベビーブーム(1971〜74年)の世代は大半が40歳代後半となり、子どもを産む世代の人口は今後さらに減っていきます。結婚や出産に対する考え方や家族観も多様化しており、少子化の傾向が長期にわたって続くことは避けられません。
 反面、希望しても結婚や出産を諦めざるを得ないといったケースが依然として目立っています。この点、政治に求められる役割は大きなものがります。
 若い人が結婚に踏み切れない理由は、経済的な事情が少なくありません。賃上げの継続に加え、非正規雇用の正社員化や「同一労働同一賃金」をはじめとした待遇改善を着実に進めるべきです。
 また、結婚資金や住居など、結婚に伴う新生活を始める際の経済的な負担を減らす支援策も必要です。
 一方、希望する数の子どもを持たない理由は「子育てや教育にお金がかかりすぎる」ことが最も多いのが現実です。
 10月から幼児教育・保育の無償化が始まり、来年4月からは私立高校授業料の実質無償化、大学など高等教育の一部無償化がスタートします。一層の充実が欠かせません。
 子育て支援では金銭面だけでなく、女性の心理的な負担を減らす取り組みも大切です。仕事と子育ての両立支援や、男性の育児休業取得の促進のほか、産後ケアの充実など母親のサポート体制の強化にも力を入れていくべきです。
 少子化対策は、効果が表れるまでに長い時間がかかります。政府は新たな対策の大綱を今年度内に策定する予定ですが、長期的な展望に立って具体策を練り上げてもらいたいと思います。
 さらに、地方自治体にあっては、少子化対策を政策の最重点と捉え、良い意味での少子化対策の競争を行うべきと提案します。