防災協定
 1月16日、災害時にいち早く仮設住宅を設置し、被災者が入居できるようにしようと、2019年台風19号で大きな被害が出た常陸大宮市が、一般社団法人日本ムービングハウ協会と協定を締結しました。
 常陸大宮市役所で行われた協定の調印式には、三次真一郎市長や日本ムービングハウス協会の佐々木信博代表理事などが出席しました。
 去年10月の台風19号で、500棟以上の住宅が浸水した常陸大宮市は、台風のあと、協会が普及を進めるムービングハウス(移動式木造住宅)を使った仮設住宅を設置し、現在も9世帯18人が生活しています。
 移動式の仮設住宅は、建設まで数か月かかる従来のプレハブ式の仮設住宅などに比べて、短期間で設置でき、被災者がいち早く入居できるのが特徴です。台風19号のあと設置にかかった日数はわずか8日間でした。
 このため、常陸大宮市は今後も災害時の速やかな仮設住宅設置につなげようと、一般社団法人日本ムービングハウス協会協定を結んだものです。協定によって、今後の災害に当たってもより早く移動式の仮設住宅の設置にとりかかれます。
 さらに、仮設住宅としての役割を終えたあとも、ムービングハウスは長く利用できる(メーカーは耐用年数を100年としています)ため、場所を移動したり、内装を変えたりして様々な活用が可能です。
協定書
 一般社団法人日本ムービングハウス協会は、動く家(ムービングハウス)の技術を日本中へ普及する事を目的としまして、2016年3月に設立されました。
 現在の協会加盟企業数は42社、生産拠点11拠点、協働パートナー4拠点で、ムービングハウスの備蓄数は500棟保有しています。
 茨城県内のパートナーも活発に活動をしており、下妻市の建築会社が販売及び生産パートナーとして、境町の工務店、行方市の建設会社が販売パートナーとして活躍しています。
 さらに、2月10日には茨城空港のほど近い小美玉市内に、北海道のアーキビジョン21社が販売、研修の拠点施設「防災・家バンク小美玉研修所」をオープンさせます。
 協会全体として生産目標を、2020年度には1500棟、2023年度には1万棟、そして2030年度には40万棟の動く家の備蓄を目指しています。
 昨年発生した2019年台風19号では5700世帯が浸水被害に見舞われる。毎年、全国のどこかで大地震や豪雨災害が発生しています。その様な中、まさにいつ、どこで起こるかわからない災害に備えることは大変ですが、被災した住民の住家を確保することは、毎回大きな課題となっています。
常陸大宮市の仮設住宅
 この住家を確保することは、災害救助法でも定められておりますとおり、国や自治体といった公共機関における重要な責務です。と同時に、建築に携わる住宅関連事業者にとっても、素早く、安心いただける住家を提供することは、重要な責務です。
 こうした意味で、地方自治体と関連企業が平時からしっかりとして連携を構築し、災害発生時に万全の備えをしていく必要があります。
 茨城県内では境町、下妻市に加え、今回の常陸大宮市との協定によって、3自治体が日本ムービングハウス協会との防災協定を結ぶことになりました。今後、小美玉市、常総市などとの協議も進めており、こうした動きをさらに拡大していきたいと考えています。