日米安保条約は是か、非か

 現行の日米安全保障条約(安保条約)が調印されてから1月19日で60年となります。前文に明記された「極東における国際の平和及び安全の維持」のために、日米関係を深化させて行かなければなりません。
 安保条約の柱は、日本が米軍に基地を提供し、米国はわが国を共同で防衛することであす。
 条約締結当時の国際社会は、米国とソ連を中心に東西の陣営に分かれ、互いに核ミサイルを向け合うという冷戦時代のただ中にありました。こうした厳しい国際情勢の中で安保条約の承認が政治課題となりましたが、冷戦によるイデオロギー対立は国会論戦にも影響を与え、国論を二分する激しい攻防が繰り広げられました。大混乱の中で安保条約は国会で自然承認されて発効、岸信介内閣は退陣しました。
 その後、世論は大きく変わっていきます。2017年の内閣府の調査では、安保条約は日本の平和と安全に役立っているかとの質問に対し、「役立っている」との答えが77.5%に上っています。
 東西冷戦時代はもちろんのこと、冷戦終結後の東アジア情勢など、わが国の安全保障上の脅威に対し、安保条約を基盤にした日米同盟が日本の平和と繁栄に貢献していることを多くの国民は評価していると言えます。
 安保条約に基づく日本防衛は相互協力であり、日本の自主的な防衛力整備も欠かせません。安保条約の信頼性を高めるための不断の努力が求められています。
 2015年に成立した平和安全法制はその努力の一環にほかなりません。日本防衛のために活動中の米軍部隊に対する攻撃であっても、それによって日本の存立が脅かされる「明白な危険がある」場合、自衛隊がその米軍部隊を実力で守ることができるようにしました。
 あくまで専守防衛の枠内での米軍に対する協力であり、一部野党の言うような「海外派兵ができる違憲の戦争法」などでないことは明白です。

 また、日米地位協定の見直しも喫緊の課題です。米軍の日本駐留に関する取り決めが日米地位協定です。1960年に発効した日米地位協定は、在日米軍による施設・区域(いわゆる米軍基地)の使用を認めた日米安全保障条約第6条を受けて結ばれた取り決めで、米軍基地の使用のあり方や日本における米軍の地位を定めています。この見直しには起訴前の身柄引き渡し、基地への立ち入り権、訓練演習への関与、事故時の対応などを公明党は提案しています。

 安全保障の基本は「抑止と対話」であり、防衛努力と平和外交を両輪とすべきです。この点、公明党は中国や韓国とも太いパイプを持ち、政党間外交に努めてきた。今後とも「行動する平和主義」(山口那津男代表)を貫いていってもらいたいものです。