ワシントン・タイムズ
 1月29日、中国では新型のコロナウイルスの感染がさらに拡大し、中国の保健当局・国家衛生健康委員会は、新型ウイルスによる肺炎の患者が、さらに1737人増え、7711人になったと発表しました。死亡者数は、38人増えてあわせて170人に達しました。
 急速な感染の拡大とともに、インターネット上では真偽がよく分からない「不確かな情報」が蔓延しています。
 科学的な裏付けがない情報には慎重に対応すべきです。拡散すべきではありません。

新型ウイルスは中国で開発された生物化学兵器!?
 「新型コロナウィルスは中国で開発された生物化学兵器だった」という信憑性が乏しいニュースが、ネット上で蔓延しています。
 科学的な裏付けがない情報には慎重に対応すべきです。拡散すべきではありません。
 この情報元は、米国「ワシントン・タイムズ」紙。社名に注目していただきたい、有名なワシントン・ポスト紙でもニューヨーク・タイムズ紙でもありません。「ワシントン・タイムズ」は、文鮮明の統一教会=国際勝共連合が創刊した新聞です。反共・反中国のプロパガンダが目的の新聞です。
 このワシントン・タイムズ紙の記事に対して、ワシントン・ポスト紙は、1月29日に明確な反論を掲載しました。その日本語訳を引用します。
 「中国が100人以上の死者を出した新しいコロナウイルスの拡散を封じ込めようとするにつれて、答えを求める争いの中で噂と偽情報が広まりました。一部の憶測は、流行が始まった武漢市のウイルス研究所に集中している。あるフリンジ理論(科学的に証明されていない理論)は、災害は生物兵器研究の偶然の結果である可能性があると考えています。しかし、ワシントンポストの取材に対して、専門家はウイルスが人為的である可能性があるという考えを拒否しました。ラトガーズ大学の化学生物学の教授であるリチャード・エブライトは、『ウイルスのゲノムと特性に基づいて、遺伝子組み換えウイルスであるという兆候はまったくありません』と述べています」
武漢の街に人民解放軍!?
 1月23日、中国政府が各地から武漢に向かうバスなどの運行を停止させると発表した日。「武漢で人民解放軍が出動!」との情報が、中国版ツイッター「微博」で拡散しました。投稿には、列車内で迷彩服姿に身を包んだ男性たちが盾を持って並んでいる動画とともにショッキングな情報が投稿されていました。
 しかし、その写真を詳細に分析すると、人民解放軍ではなく、「武警」=武装警察であることが判明。さらに、写真には鉄道の路線図が写り込んでおり、「Y」の字を横に倒したような路線は武漢にはありません。さらに、車内を彩る紫色のポスターには上海ディズニーランドのキャラクターが描いてあることが分かりました。上海で何らかの理由で列車で移動する写真が、「武漢で人民解放軍が出動!」とのコメントを付けて流布されていたものと判明しました。

関西空港から新型肺炎の可能性がある中国人観光客が逃走!?
 同じ中国版ツイッター「微博」には、「中国から関西国際空港へ入国した中国武漢人観光客から咳と熱を検知し、病院へ搬送したものの検査前に逃げた。新型肺炎感染者の可能性が高いので大阪に住む人ご注意を」などた投稿がけいさいされ、その和訳情報が、ツイッターによって大勢の人によって拡散されました。
 これに対し、関西国際空港を運営する関西エアポートでは検疫所などに確認し、その事実はないとしてすぐさまホームページやツイッターで注意喚起を行いました。さらに大阪府の吉村知事は「この情報はデマです」とツイッターに投稿し、冷静な対応を求めました。
どうして目に留まるの?
こうした情報がどうして人々に注目され、拡散してしまうのか。私たちはツイッター社に話を聞くことにした。