那珂川の支流藤井川
 昨年(令和元年)の台風19号被害を受けて、茨城県議会公明党がかねて提案してきた、河川の周辺地域が共同で治水対策に取り組む「流域治水」が、茨城県内でも具体的に動き出します。今までのダムや堤防だけに頼った対策を転換し、遊水池や土地利用制限なども踏まえた増水時の流量抑制、被害リスク低減を図っていくことになります。8月中にも県内の一級河川ごとにに協議会を立ち上げ、それぞれ具体的なプロジェクトをスタートさせます。(久慈川流域治水協議会、那珂川流域治水協議会、鬼怒川・小貝川流域治水協議会、利根川流域治水協議会、霞ヶ浦流域治水協議会)
 「流域治水」はダムや堤防のみに頼らず、遊水池整備や河道掘削、土地利用規制、集団移転促進など、各河川の周辺地域が一体となり治水対策に取り組むものです。国が防災減災総合対策として打ち出し、全国109の1級河川で地域特性に応じた「流域治水プロジェクト」の策定を進めています。
 プロジェクトは「反乱をできるだけ防ぐ」「被害対象を減少させる」「被害の軽減早期・復旧・復興」が共通テーマです。
 氾濫防止では、水田などの貯水機能を活用した遊水池を整備して増水時の流量抑制を促すほか、稼働掘削も進めるなど流下能力向上も図ります。
 浸水リスクの高い地域では開発を抑制します。市町村の防災集団移転促進事業を活用し、住居移転等検討も進めます。また水害リスク情報の空白地域対象や建築物自体の浸水対策も強化するなど、国、県、市町村に、地域住民や企業なども巻き込んだプロジェクト作成を進めていく方針です。
久慈川大子町
 流域治水プロジェクトのポイントは、『多重防御治水』と『減災に向けた更なる取組』の2つです。
 『多重防御治水』とは地域と連携し、_脇擦領下能力の向上によるあふれさせない対策、⇒型紂γ留機能の確保・向上による、計画的に流域にためる対策。E效詫用・住まい方の工夫による、家屋浸水を発生させない対策が三位一体となって社会経済被害の最小化を目指す治水対策です。
 「河道の流下能力の向上によるあふれさせない対策」には、○河道内の土砂掘削、樹木伐採による水位低減、○堤防整備などの具体策が計画されています。
 「遊水・貯留機能の確保・向上による、計画的に流域にためる対策」では、○地形や現状の土地利用等を考慮した遊水地・霞堤の整備、○現存する霞堤の保全・有効活用、○既存ダムの洪水調節機能の強化などに取り組みます。
 「土地利用・住まい方の工夫による、家屋浸水を発生させない対策」は、○浸水が想定される区域の土地利用制限(災害危険区域の設定等)、○家屋移転、住宅の嵩上げ(土地利用一体型水防災事業、防災集団移転促進事業等)、○高台整備などが進められます。
 『減災に向けた更なる取組』では、○重要度に応じた情報の伝達方法の選択及び防災情報の共有化のための取組として、■越水・決壊を検知する機器の開発・整備、■危機管理型水位計、簡易型河川監視カメラの設置、■ダム操作状況の情報発信などを行います。また、○関係機関が連携した水害に対する事前準備のための取組として、■台風第19号の課題を受けたタイムラインの改善、■講習会等によるマイ・タイムライン普及促進、■防災メール、防災行政情報伝達システム、防災行政無線等を活用した情報発信の強化、■要配慮者利用施設の避難確保計画作成の促進、■緊急排水作業の準備計画策定と訓練実施などを行います。

 こうした「流域治水」の考え方は、茨城県議会公明党がいち早く主張してきた政策です。平成26年第2回定例県議会での高崎進議員の提案を議事録から紹介します。
平成26年第2回定例会での高崎進議員の一般質問(2014/6/10)
流域ごとの総合的な治水対策を
 先日、兵庫県を訪れ、先進的な治水対策の取り組みを調査してまいりました。
 兵庫県では、これまでの治水は、雨水を河川に集めて、早く安全に流すことを基本とし、河川における対策としては、ダム、堤防等の設置、河道の拡幅等の整備を進め、下水道における対策としては、雨水を排水するための管渠等の整備を進めることにより行われてきました。
 しかし、河川の上流部周辺では、開発が進行して雨水が流出しやすくなり、一方で、河川の下流部周辺では、都市化が進行しているため大きな被害が生じやすくなっております。近年では、台風に伴う大雨のみならず、局地的に集中する大雨が多発することで、従来よりも浸水による被害が拡大をしております。
 こうした状況のもと、これまでの治水対策に加え、地域における特性及び課題に着目し、流域全体で雨水を一時的に貯留し、または地下に浸透させる対策、さらに浸水が発生した場所における被害の軽減を図る対策を効果的に組み合わせて実施する総合治水の必要性が高まっていることから、総合治水条例を制定しました。
 そして、これまでの河川、下水道の整備による「流す」対策に加え、雨水を一時的に貯留、地下に浸透させるとした「ためる」対策、さらに、浸水してもその被害を軽減する「備える」ことの減災対策を効果的に組み合わせた総合的な治水対策に取り組んでおります。
 具体的な兵庫県の総合治水対策の内容ですが、河川や流域下水道の整備及び維持管理は従来どおりに行いますが、調整池の設置及び保全については、開発行為をしようとする開発者は、一部の開発行為を除きますが、開発行為の規模が1ヘクタール以上、かつ周辺地域に浸水被害を発生する可能性が高まると認められる開発行為の場合は、開発の内容を知事に届け、重要調整池を設置しなければならず、違反時には命令、罰則を科す仕組みになっております。
 さらに、土地、建物の所有者などは、新たに雨水貯留浸透機能を備え維持することが求められています。例えば学校の校庭や公園などの広い土地を利用した施設を一時的に雨水貯留浸透のための施設として活用します。また、庁舎や病院などの大規模な建物については雨水貯留整備の配置を、住宅や店舗などの小規模な建物については簡易な雨水貯水槽の設置を求めています。
 田んぼやため池については、雨水を一時的に貯留することにより、河川への流出をおくらせることで、河川の急激な増水を抑え、下流部の洪水被害を軽減する取り組みです。
 田んぼの貯留とは、田んぼに雨水貯留用の堰板を設置する、いわゆる田んぼダムの取り組みであります。兵庫県内の平成24年産の全水稲作付面積約4万ヘクタールでこのことを実施すれば、約3,800万トンの一時貯留が可能で、その貯留量は、兵庫県最大の農業用ダム、呑吐ダムの2.1倍の貯水量に相当すると試算されていました。
 また、ため池の貯留とは、台風などの豪雨の直前にため池の水位を下げたり、一定の期間を定めて常に水位を下げるなどして雨水の貯留量を確保する取り組みであります。
 兵庫県では、今年度から創設された日本型直接支払いをインセンティブとして、田んぼ、ため池を活用した流域対策の集落への普及啓発を推進するとしていました。
 河川法における河川整備計画では、治水、利水、環境を総合的に考えて作成されています。本県の河川整備計画における治水の取り組みでは、10年に一度程度の発生が想定される降雨に対応できる河川改修を基本とされています。しかし、近年では、局地的に集中する大雨が多発し、従来よりも浸水による被害が拡大をしております。
 雨水を河川に集めて早く安全に流すことは基本であり、河川整備などを推進することは当然のことと考えておりますが、「流す」という従来の考えに、「ためる」という新たな発想を加えた治水対策も必要であると考えております。
 本県が取り組んできたこれまでの治水対策を検証するとともに、地域における特性や課題に着目した総合治水対策を検討すべき時に来ていると考えますが、知事の御所見をお伺いをいたします。