ドローンの承認・検挙件数
■違法飛行で検挙、年々増加
 ドローンの普及が加速度的に進んでいます。今年度の7月までの期間だけでも、国土交通省にドローンの飛行が許可・承認された件数は、申請件数と同じ1万9465件に上っています【棒グラフ参照】。
 一方、許可や承認を得ないドローンの違法飛行の検挙件数も、年々増加しています。2019年に警察がドローンの違法飛行を検挙した件数は111件で、前年と比べ、29件増えました【折れ線グラフ参照】。観光などでの「記念撮影」での違法飛行が54件と最も多く、次いで「操縦練習」が34件となっています。
 空撮で使うドローンは安価で誰でも気軽に購入し、使用できるため、おもちゃのように思われがちです。しかし、国際民間航空条約(シカゴ条約)が適用され、厳格なルールにのっとった運用が求められる「航空機」に該当する場合があります。
 日本を含む193カ国が加盟する国際民間航空機関(ICAO)が、ドローンをシカゴ条約で規制される航空機とすべきであると、加盟国に提案しているためだ。ICAOは、シカゴ条約に基づき、航空機の運航の安全を確保する目的で創設された国連の専門機関です。
 ICAOの提案を踏まえ、日本も15年12月に航空法を改正しました。これにより、「人が乗れない飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船で、遠隔操作、または自動操縦により飛行させることができるもの」を「無人航空機」とし、その飛行を制限する規定が新たに設けられました。
■使用には事前申請が必要/航空法の規制対象は200グラム以上の機体
 無人航空機に該当するのは、200グラム以上の機体です。ドローンも200グラム以上であれば、無人航空機に該当します。
 航空法では、200グラム以上のドローンを使用する場合、事前に国交省に申請し、許可や承認を得なければならない事例を定めています。
 許可の申請は、ドローンを飛ばす場所との関連で必要となる。例えば、ゞ港周辺⇒人の航空機やヘリコプターと接触する危険のある地上・水面から150メートル以上の上空住宅密集地す餡餤鳥堂や外国公館、原子力発電所――などで飛行させる場合、許可を得なければならなりません。
 承認の申請は、ドローンを飛ばす際の状況を考慮して行うことが求められています。例えば、ドローンの夜間飛行や、遠隔操縦者が目視できない場所にドローンを飛ばす「目視外飛行」の場合、承認を得る必要があります。
 ドローンの中には、人が操作しなくても、機体が自らセンサーなどで障害物を感知し、衝突を避けながら飛べるものもあるが、ドローンの所有者が監視できない状態での飛行は、目視外飛行となります。
 航空法に違反してドローンを飛ばした場合、50万円以下の罰金などが科せられます。

■所有者の特定困難な例も
 ドローンの違法飛行が見つかっても、所有者が分からず、検挙できない事例もあります。
 昨年10月から11月にかけて、関西国際空港の滑走路付近にドローンが侵入していたため、滑走路の一時封鎖を余儀なくされるという事態が相次ぎ、旅客機の発着が遅れるなど大きな混乱を招きました。この際に目撃されたドローンの所有者は、いまだに不明です。
 国交省によると、ドローンが墜落するなどの事故やトラブルの報告が、今年度に入ってから7月29日までの間に28件りました。このうち3件が、許可や承認を得ない違法飛行によるものでしたが、人の負傷や物の損傷などの被害は発生していません。
 ただ、違法飛行の場合、ドローンが墜落して、歩行者に衝突するなどの事故が起きたとしても、所有者が名乗り出ない可能性もあります。その場合、所有者の特定が困難であるため、事故の責任を問えないということも起こり得えます。

■登録制導入や罰則強化へ
 そうした事態を防ぐため、今年6月、航空法をさらに改正し、200グラム以上のドローンの所有者が、氏名や住所、機種などを国交省に申請し、個別の登録記号(ID)の通知を受ける新制度に関する規定が盛り込まれました。国交省は、この制度を2021年末から22年初めごろをめどに導入する見通しです。
 200グラム以上のドローンの所有者は、国交省から通知されたIDを機体にシールなどで貼って、表示することが義務付けられます。登録せずに飛行させた場合は、50万円以下の罰金か、1年以下の懲役が科せられます。
 航空法とは別に「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」(小型無人機等飛行禁止法)で、々餡餤鳥堂や首相官邸外国公館自衛隊や在日米軍の施設――などでのドローンの飛行を、原則として禁止しています。この法律は、200グラム未満のドローンにも適用されます。
 7月22日から施行された改正小型無人機等飛行禁止法で、新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港(羽田空港)、中部国際空港、関西国際空港、大阪国際空港(伊丹空港)、福岡空港、那覇空港でのドローンの飛行も禁じられました。しかし、8月2日に、成田国際空港の滑走路でドローンのような飛行物体の侵入が確認され、滑走路が一時閉鎖されました。同法の周知徹底が求められています。

■国交省、「おもちゃ」の規制も検討
 機体重量が200グラム未満のドローンは「トイ・ドローン」(おもちゃのドローン)などと呼ばれています。航空法では「模型航空機」とされており、飛行の際、無人航空機の規制に関する規定は適用されません。
 しかし、現在、200グラム未満の軽量な機体であっても、高高度かつ長距離を安定して飛べるドローンの普及が急速に進んでおり、ICAOでも200グラム未満のドローンの規制に向けた議論を、本格的に進めています。
 例えば、ドローン製造会社DJIが販売している「マビック・ミニ」(Mavic Mini)は199グラムと軽量であり、航空法上は模型航空機となります。翼を閉じた状態だとズボンのポケットに入るほどの大きさだが、最高で海抜3キロ上空での運用が可能で、写真撮影もできる高性能な機体です。価格も4万6200円と安く、人気を博しています。こうした機体が増えている現状を踏まえ、国交省は7月19日、200グラム未満のドローンの飛行も規制するルールを整備する方針を固めました。具体的な基準を検討し、年内にも航空法施行規則を改正して対応する予定です。