茨城県フラワーパークの工事現場を見学
 11月27日、来春(2021年)4月のオープンを目指して現在リニューアル工事が行われている茨城県フラワーパークの見学機会を得ました。

 茨城県フラワーパークは、国際科学技術博覧会(つくば万博)に合わせ、1985年6月にオープンしました。フラワーパークをいばらきの魅力を再発見・再発信できる観光拠点として一新するため、2019年度からの2ケ年度計画を策定。これまでフラワーパークを管理・運営してきた一般財団法人石岡市産業文化事業団と株式会社パーク・コーポレーションが、ジョイントベンチャーを組み、「茨城県フラワーパーク指定管理業務共同事業体」を2019年4月に設立しました。
 今まで「見る(鑑賞)」だけだったプラワーパークを、「香る」「聴く」「触る」「味わう」といった要素を加え、「五感」に訴える施設へと変貌させるため一大リニューアル工事が進んでいます。総事業費は約20億円です。
参考:『茨城県フラワーパーク』の大規模リニューアルについて(2020/2/28)
http://www.jsdi.or.jp/~y_ide/201129flwer.pdf
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 パーク・コーポレーションは、「青山フラワーマーケット」の運営母体。青山フラワーマーケットは、国内に109店舗、海外に2店舗を展開するフラワーショップ(花屋)さんです。利便性のよい駅前店舗を展開した点と、ミニブーケ等の商品開発を通じて若年消費者を取り込み成長してきました。2019年の売上高は87億3000万円に達しました。
 生花販売から業態を広げ、2011年には温室をコンセプトとしたカフェを開店。フラワースクール運営やイベントなどの開催。法人向けの事業所の室内緑化事業、植物を活かした空間デザインなどを新たに展開しています。
 今回の茨城県との取り組みは同社にとっても、小売業から公園事業という新たな業態への初チャレンジとなります。今年2月に発表されたプレスリリースには「青山フラワーマーケットの『感性』とパーカーズの『デザイン』が融合。花屋が運営するフラワーパークが、2021年茨城県にリニューアルオープン」と謳われており、同社の意気込みと決意が感じられます。

いばらきフラワーパーク
 リニューアルにあたり、フラワーパークは「いばらきフラワーパーク」に改称されます。県花である「バラ」の印象を強めるとともに、インバウンドの需要も見越し、英語表記でのわかりやすさも意識しました。ロゴはバラをモチーフに、四季を通じて楽しんでいただけるように春夏秋冬の頭文字(SSAW)を組み合わせました。
 また、フラワーパークはもともと国内屈指のバラ園です。古いバラを2020年以降に育種された新品種のバラに植え替えたり、無農薬でのバラの育成に取り組んだりと、さらにバラの魅力を前面に押し出した公園作りが進められています。その中でも目玉となるのは、フラワーパークオリジナルの新品種のバラ。リニューアルオープン時に世界で初披露となる予定です。
 季節ごとに変わるバラを楽しめるエリアやバラの香りを楽しめるエリアを設置。香水づくりなどの体験プログラムや、食べられる花「エディブルフラワー」や県産食材を楽しめるように計画中です。
 実際にバラの育種や管理などのノウハウを、生花販売からスタートしたパーク・コーポレーションが持っているのか、若干の不安を抱いていました。11月27日付けのfacebookで、新たに園内を彩るバラは、育種家の木村卓功さんが監修し、木村さんの農場で大切に育てられていることが公表され、期待が大きく広まりました。

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隣接する「石岡市ふれあいの森」もリニューアル
 また、フラワーパークに隣接する「石岡市ふれあいの森」も合わせてリニューアルを実施しています。豊かな自然を生かし、森を様々な方法で体験できるような仕掛けづくり、宿泊施設やグランピングサイト等も整備し、滞在型観光施設を目指します。事業費は約3億6千万円。4つのゾーンで里山の自然や暮らしを体験できる施設にし、ロッジなどの宿泊施設も整えます。
 フラワーパークの高台にある約18haの「石岡市ふれあいの森」。園内には、手入れされた里山ならではの美しい自然と、250本の河津桜、非常に珍しいシャガの群落、やまゆりなど四季折々の花々に恵まれています。延長800mの「花のすべり台」や「フラワーサイクル」などの遊具は子どもたちに大人気です。
 今回は、豊かな自然と地域に根ざした里山文化が体験でき、森のここちよさと大切さを未来に向かって継承する滞在型観光施設として、リニューアルを行ないます。
 宿泊施設はロッジのほか、グランピングサイト等を整備予定。様々な森を体験できる仕掛けで、フラワーパークと行き来しながら一日中楽しめる施設を目指します。
 特に注目は、円形に配されたロッジ。客室や管理棟、炊事場等の機能を計画しています。屋上には、森の間伐材や県産材を活用したデッキ。そこでは、パノラマの景観や星空を楽しめます。中央の広場では、キャンプファイアーや野外ライブなどのイベントを囲んで楽しむことができます。

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 今回の見学会では、参加者から様々な意見が寄せられました。様々な機会を活用して提案してみたいと思います。
  • 計画ではロッジの部屋ごとにはバス・トイレが整備されておらず、別棟にあるとのこと。若い女性の利用などを考えると、戸別のバス・トイレは必須である。
  • ロッジにはダブルベットが計画されているが、2段ベットの方が家族向きに良い。
  • キャンピングカーを止められるスポットを整備してほしい。
  • 「絶景ブランコ」や「ツリーハウス」など、トレンディーな施設、映えるスポットを整備するべきだ。