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 12月10日、「小型無人機に関する関係府省庁連絡会議」が開催され、小型無人機ドローンの目視外飛行を市街地上空で行う際に必要な操縦免許制度やドローンの登録制度およびリモートIDの概要が明らかになりました。
 政府は2022年度に、目の届かない有人地帯上空をドローンが自律飛行する「レベル4」を実現させる考えです。例えば市街地を自動操縦でドローンが飛行することを可能として、都市部を含め、荷物の配送や警備、災害時の救助や物資輸送といった分野での活用ができるようにする方針です。

【ドローン操縦の免許制度創設】 
 現在はドローン操縦の公的な免許制度はありません。しかし、ドローンの飛行を巡るトラブルは増加し、リスクの高いレベル4の運航を実現するためには、操縦者の能力や知識、身体能力などを公的に認定する必要性が増してきました。試験は国が実施し、ドローン操縦者の技能証明を行うライセンス制度を新たに創設します。等級を二つに分け、一等資格者には第三者上空飛行(レベル4、レベル3)を許可します。二等資格からは機体の種類や飛行方法に応じた限定をします(レベル1と2、個別申請によりレベル3)。実際の試験は国の指定を受けた民間試験機関により試験事務を実施し、国の登録を受けた民間講習期間が実施する購入を終了した際には試験の一部または全てを免除するとしています。免許は更新制とし、トラブル発生時は一定の判断能力が求められるため、取得は16歳以上とする案があります。関連規定を盛り込んだ航空法改正案を来年の通常国会に提出します。
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【機体登録の義務化】
 現在、操縦者との紐付けができていない状況での墜落事故や機体ロストが発生しています。このことが事故の詳細把握を困難にしており、事故の再発防止に繋がっていません。航空法の規制対象となる無人航空機(現在は飛行重量200g以上ですが後述するように100g以上に対象が拡大されます)の全てついて、DIPSの登録と紐付けた機体番号を発行し、運用時に確認できるように機体に表示するようにします。さらに、10日の連絡会議では、機体番号(ID)をASTM規格の無線通信で、ドロ−ンの機体へ内蔵又は外付けモジュールの搭載によりID信号を発信することが義務づけられます(オンラインID)。これによって、目視だけではなくドローンの飛行が電子的にも管理できるようになります。
 登録内容は、無人航空機の機種、形式、製造者、製造番号、操縦者・所有者の氏名・名称、住所等です。3〜5年毎に更新を義務付け、またIDの発行にあたり、1000円前後の手数料が発生する見込みです。
 今後、現状の機体は、ID取得が必須となります。規制対象機体(現状は200g以上の機体、100g以上の機体に規制拡大の方向)であれば全てに必要となります。
 登録制度の運用開始は、2022年6月までには確実に実施されますが、その半年前の2021年末から移行期間として進めていく方向です。

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【200g未満の高性能機種の規制対象化】
 政府は、これまで200グラム以上としていた航空法の規制対象を拡大し、100グラム以上にする方針を固めました。小型でも飛行速度が速いドローンが手軽に入手できるようになり、危険性が増していることを踏まえた対応です。
 ただし、「トイドローン」と呼ばれる200グラム未満の機体については、上空150メートル以上や空港周辺を飛ぶ場合を除き、規制の対象外でした。機能や性能が限定されており、おもに屋内での狭い範囲での飛行が想定されている。仮に墜落して人やものにぶつかっても被害が限定的であると考えられてきました。
 ただ、規制開始から5年がたち、ドローンの性能は大きく上がりました。200グラム未満でもプロペラの回転や飛行速度が速く、屋外で安定して飛べるような高性能なタイプが家電量販店などでも手に入るようになりました。衝突すれば人にけがをさせたり、ものを壊したりする可能性が指摘されていました。
 特に、DJI mini2は、199グラムの機体ながら、GPSや高画質の4k動画撮影も可能とし、最大飛行速度は時速約47キロ、高度3000メートルまで飛べるという驚くべきスペックです。規制範囲が100グラムに拡大されるのは当然の帰結かもしれません。
 現在販売されている100グラム超のドローンは、今後、機体登録や操縦者の免許制度の対象となります。