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 11月30日から始まった日立市内のBRT専用線を活用した自動運転の実証実験で、12月14日、実験中のバスが直線路で右側のガードレールに接触するという事故が発生しました。(ひたちBRT自動運転実証実験:http://blog.hitachi-net.jp/archives/51741237.html
 12月25日、産業技術総合研究所は、実験用のバスに搭載されている磁気マーカー受信機を起動していなかったことが事故の原因だったと発表しました。路面に設置してある磁気マーカーの情報をバス側が取得できず、何らかの理由でハンドルが直線で急旋回し、ガードレールに接触してしまいました。
 バスは、午前9時50分に大甕駅西口を多賀駅に向けて出発。常陸多賀駅方面に50メートルほど走行したところで、バスの右前方部分が右側ガードレールに接触しました。一般乗客は乗車しておらず、運転手含めた乗員3名にもけがはありませんでした。今回の実験路ではその特性により二つの位置推定手法(GNSS方式と磁気マーカー方式により位置推定)を使い分けていますが、事案発生地点はそれらの位置推定手法が切り替わる地点でした。約30km/hの速度で自動走行中に、当該地点でハンドルが右に急旋回し、運転手が速やかにブレーキ及びハンドル操作による介入をしたものの、間に合わずガードレールへの接触に至りました。
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 産総研によると事故の原因は、車両開発事業者が走行前に自動運転システムを設定しましたが、位置推定を行うための情報(車両の位置や方向に関わる情報)を取得する二つの機器(※)の再起動が必要であるところ、一つの機器(磁気マーカー受信機)の再起動を行っていなかたことでした。再起動を行っていなかった機器で車両の位置や方向に関する情報が取得できず、情報が更新されていませんでした。その結果、事故発生地点で位置推定手法の切り替えが生じた際に、更新される前の車両の位置や方向に関する情報が使用され、それに基づき車両制御が行われ、ハンドルが誤って急旋回してしまいました。
 産総研は今後の対策として、●直接的な原因となった車両の位置や方向に関する二つの機器については、一つの機器の再起動時に、もう一つの機器の再起動の確認を要求する表示を出すようにシステムを改善する。●走行速度が速い場合や走路が直進である場合には、自動運転システムによるハンドル操舵量が大きなものにならないよう、走行速度や走路に応じた操舵量の指示や制御の制限を行う。ことを発表しました。
 来年3月5日までの予定でおこなっていた自動運転の実証試験ですが、実験再開の日程については未だに公表されていません。