ひたちなか海浜鉄道阿字ヶ浦駅
 1月15日、国土交通省は「ひたちなか海浜鉄道」が申請していた国営ひたち海浜公園までの3.1キロの延伸計画(鉄道事業法第3条に基づく第一種鉄道事業許可申請)を許可しました。
 許可路線(区間)は、ひたちなか海浜鉄道港線の阿字ヶ浦〜新駅2駅の間です。開業予定は2024年(令和6年)春です。国交省は、ひたちなか市のまちづくりと連携し、公共交通の維持・確保や移動の利便性向上を図るとともに地域の活性化を図るため効果が期待されるとしています。
 ひたちなか市のJR勝田駅から阿字ヶ浦駅までの14.3キロを走る第3セクターのひたちなか海浜鉄道は、国内外から多くの観光客が訪れる国営ひたち海浜公園へのアクセスを向上させようと、現在の終点である阿字ヶ浦駅から公園の近くまで3.1キロ延伸する計画を立て、去年8月、計画を進めるために必要な事業許可申請を国土交通省に提出し、審査を受けていました。
 国土交通省は、通勤通学などの沿線住民と観光客の利用が見込め、会社が安定した経営ができ路線が維持できるなどとして、1月15日、鉄道事業を許可しました。国交省によると、路面電車などではない地方の鉄道で延伸計画が認められるのは、鉄道事業法が改正された平成12年以降では初めてです。
 許可を受けて、海浜鉄道では工事の着手に必要な工事施工認可の申請や用地確保に向けた交渉に入り令和6年の延伸区間の利用開始を目指します。
 事業費は概算で78億円。地元ひたちなか市と茨城県が3分の1、海浜鉄道が3分の1を負担します。
ひたちなか海浜鉄道延伸について
 ひたちなか海浜鉄道湊線は、2008年までは茨城交通の路線でしたが、廃線危機で第三セクター化され、ひたちなか市と茨城交通が出資する第3セクターとして生まれ変わりました。新会社設立の際に、全国公募で選ばれた社長が、現社長の吉田千秋氏です。吉田社長は、富山県内を走る三セク鉄道会社「万葉線」の出身。富山県の地方鉄道に一貫してかかわり、2002年に三セクに移行した高岡市と新湊市を結ぶ万葉線では地域と一体となった利用促進に取り組み、5年連続の利用者増を実現しています。
 3セクに移管後、経営努力もあり利用者が増加基調になり、2011年の東日本大震災の大規模被害も乗り越えて、ひたちなか市が国営ひたち海浜公園までの延伸計画を策定しました。
 新線は大部分は盛り土か高架。途中駅は、阿字ヶ浦の土地区画整理地区に設けます。終着駅は、海浜公園西口の翼のゲート付近に設置し、バスターミナルを併設。交通ターミナル機能を整備します。物産品販売や飲食を提供できる観光拠点の整備も見込んでいます。
 周囲にはアウトレットモールやホームセンター、家電専門店などの大規模ショッピングセンターが集積しています。湊線の延伸は、公園へのアクセスだけでなく、商業施設の利便性向上の役割も果たします。

右:ひたちなか海浜鉄道吉田千秋社長 1月16日、地元住民と連携して延伸計画を推進してきた茨城県議会公明党の村本しゅうじ県議会議員と井手よしひろは、ひたちなか海浜鉄道の吉田社長を訪ね、祝意を示すとともに、今後の資金計画や工事計画などについて意見交換を行いました。
 吉田社長は、「(延伸の許可は)地元の熱意が国交省を動かした結果だと思います。今後、県や市としっかりと連携して、遅滞なく延伸計画を進めていきたい。皆さまの期待に応えたい」と語りました。

写真1枚目は、現在終点となっている「ひたちなか海浜鉄道・阿字ヶ浦駅」。写真上方向(北側)に3.1キロの延伸が許可されました。
2枚目は、ひたちなか海浜鉄道の延伸計画
3枚目は、吉田千秋社長(右側)と意見交換した村本しゅうじ県議会議員(茨城県議会公明党議員会:2021/1/16)