日本自転車振興会によると、戦後復興を主な目的に1954年までに全国61カ所に公営の競輪場ができました。しかし、2002年3月に兵庫や福岡で3カ所が廃止されるなど、現在は47カ所に減っています。1991年度には、2兆円近くあった売り上げは、2002年度は約1兆460億円と半減しました。レースを主催する自治体が赤字経営から相次ぎ撤退しました。
2004年5月20日オープンのボートピア岩間 これに対し、場外車券場は急増しています。場外車券場とは、実際に競争を行う競技場の模様を大型スクリーン等で実況し、車券を販売するものです。民間業者が施設を建設し、競輪場をもつ自治体が事業に乗り出す形で、全国36カ所のうち、この10年間だけで20カ所が新しく設置されました。全国で「競輪空白県」は山形や島根など6県だけとなり、今年3月〜5月には、さらに3カ所ができる予定です。
 場外車券場の急増の背景は、新たな財源と雇用確保の場を場外車券場に求める自治体の思惑があります。
 同じようにボート競技(競艇)の舟券を販売する場外舟券場、競馬の馬券を販売する場外馬券場、オートバイ競技の車券を販売する場外車券場などがあります。
 茨城県内では、平成10年に常北町に場外車券場である「サテライト水戸」がオープンし、年間100億円近くの売上を上げ、地元自治体の財政にも大きな貢献をしています。
 一方、「周辺で交通渋滞や事故の危険が増し、風紀が乱れる」「子どもの教育上支障がある」などと主張する住民の反対運動があることも事実です。公営ギャンブルというマイナスのイメージを完全に払拭することは出来ていません。また、すべての場外売り場の経営が万全ではないようです。
 地域の住民も場外売り場の状況を注意深く見守る必要があるようです。
(写真は2004年5月20日オープンのボートピア岩間)
茨城県内の公営競技場外売り場の状況
名称オープン所在地幹事施行者種別売上額
サテライト水戸H10年8月常北町立川競輪場競輪車券14年度:280日=約248億円
一日あたり8800万円
サテライトしおさい鹿島H15年12月鹿嶋市取手競輪場(茨城県)競輪車券15年度:68日=17億円
一日あたり2500万円
オフトひたちなかH15年9月ひたちなか市大井・浦和・川崎・船橋の4地方競馬競馬馬券200日開催予定
一日あたり1500万円
ボートピア岩間H16年5月岩間町浜名湖競艇場競艇舟券300日開催予定
一日あたり2400万円予定

牛久市にはオート・競輪複合型の場外車券場
牛久市井ノ岡の複合施設建設予定地 牛久市井ノ岡には民間事業者がオートレースと競輪の複合型の場外車券売り場の建設計画を進めています。計画では一日の来場者数を1800人、年間売上額を約130億円と見込み、2005年末ごろのオープンを予定しています。オートレースと競輪両方の車券を販売する複合施設は、実現すれば全国初の事例となります。
 複合型場外車券売り場の建設予定地は筑波南桂工業団地南側(同市井ノ岡町)で、敷地面積は22.7ヘクタール。鉄骨2階建て延べ床面積約12000平方メートルの複合施設と約1500台収容の駐車場を整備する計画です。総事業費は約55億円に上ります。
 昼間、夜間合わせて年間約300日営業し、川口オートレースや大宮競輪のほか複数の場外車券を販売する計画です。