常陸太田市が8月16日、日立電鉄の廃線問題で、鉄道事業を肩代わりしてくれる事業所を探すホームページを公開しました。
鉄道事業者を捜しています(常陸太田市のホームページ)
 日立電鉄の廃線問題について、橋本昌県知事は8月5日の定例記者会見で、日立電鉄の事業を引き継ぐ事業者があれば、公的な助成も検討していくと述べました。
県知事記者会見の要旨(2004年8月5日)
記者:鉄道を存続させるために,それこそ県のほうで支援するとか,そういったところはもう完全に考えてはいないということでよろしいのですか。
知事:例えば,日立電鉄としてはもう経営を継続する気はないわけですから,どこか新しい事業者が出てきて,本当に、ある程度公的な負担があればやるよということになれば,常陸太田市も日立市も含めて公的部門としてどういう応援をできるかを検討しなくてはいけないだろうと思っています。ただ,今までの段階ではなかなかそういうところが見つかっていないという報告を受けています。
 こうした発言を背景として、電鉄線の存続を強く希望している常陸太田市が事業者捜しを始めた訳です。
 しかし、鉄道事業者を公募するといっても、日立電鉄側の意向の確認も出来ていませんし、県や日立市との意見のすり合わせも行われていません。新たな事業所がたとえ手を挙げたとしても、鉄道用地や車両、駅舎などの施設を果たして日立電鉄が無償で提供することが考えられるでしょうか?
 「茨城県が今年3月に公表した試算では、日立電鉄線を存続する場合に平成16年度から平成20年度までに必要な鉄道施設の維持補修及び整備等に係る経費の年平均事業者負担額は75,200千円となっています」と募集の要項には記載されていますが、施設の使用料などは一切計算外の数字です。
 今回のホームページへの掲載はあまりにも短絡的で、安直とのそしりを免れません。市民や利用者に、一応、常陸太田市としては努力はしていますとのメッセージを送ることに目的があるように思えてなりません。まず、日立電鉄、日立市、常陸太田市、県が四つに組んでしっかりとした話し合いをすることが先決です。
YOMIURI ON-LINE(2004/8/17)
常陸太田市 HPで運行事業者公募 
県外の民鉄視野 公的支援の用意表明
 日立電鉄線の廃止問題で、常陸太田市は十六日、市のホームページ(HP)に、廃止届を出した日立電鉄に代わり電鉄線を運行する鉄道事業者を募集する広報文を掲載した。
 県内外を問わず、名乗りを挙げる民間鉄道会社があれば、公的支援の用意があると表明している。国土交通省関東運輸局によると、鉄道存続に向け、沿線自治体が事業者をHPで公募するケースは「聞いたことがない」という。
 電鉄線を巡っては、日立電鉄が来年三月末をもっての鉄道事業廃止届を関東運輸局に提出。日立市が廃止容認の姿勢を崩さないため、県と両市、日立電鉄バスの四者が代替バス運行の検討に入っているが、常陸太田市は並行して鉄道存続の道も探っている。
 日立市と足並みがそろわず、第三セクター会社の設立が困難なため、運行の引き受け手となる既存の鉄道会社を模索している。
 関係者によると、これまでに県内に路線を持つJR東日本、関東鉄道、茨城交通などに打診しているが、いずれも色よい返事は得られていない。このため、市では「打てる手はすべて打っておきたい」(企画財政課)として、ホームページへの掲載で、県外の鉄道会社にも対象を広げ、幅広くアピールすることにした。
 市がHPに掲載した「鉄道事業者を探しています!!」と題する広報文では、電鉄線の鮎川―常北太田間十八・一キロの現在の運行本数、輸送人員、保有車両数などのほか、今年度から五年間の鉄道施設の維持、補修、整備にかかる存続費用が年平均約7520万円とする県の試算を紹介。
 その上で、〈1〉二〇〇五年四月一日から運行を開始する〈2〉鉄道施設の整備、利用促進運動費用などについては市が支援する予定〈3〉運行条件については別途協議する――としている。
 募集期限は今月三十一日までとしているが、市は「締め切りを過ぎても、同線を運営したいという申し入れがあれば歓迎する」(同課)としている。
 県は「もし名乗りを挙げる事業者が出てくれば、県としても支援を検討したい」(企画課)と前向きの姿勢だが、日立市は「立場が違う上、他市のことで、こちらから口を出せることではない」(政策審議室政策企画担当)と話している。
 鉄道事業廃止届が一度出された路線に関し、別の民鉄が運行に名乗りを挙げた例としては、三重県の近鉄北勢線(西桑名―阿下喜、二十・四キロ)を昨年四月に三岐鉄道(本社・三重県四日市市)が引き継いだケースがある。