9月8日の県議会代表質問で、介護保険の見直しへの見解を求められた橋本昌県知事は、「痴呆性老人のグループホームなどに住所地特例を認めるべき」との考えを明らかにしました。
 先のBLOGでも指摘したように痴呆性老人のグループホームでは、設置された市町村外からの入居者の割合が高く、所在市町村の介護保険財政を圧迫しています。
 つまり、施設の所在する市町村外から施設に入居した場合、その地域の介護保険会計から多額の費用が、市町村外の入所者に投入されることになります。この事を避けるために、市町村外の入所者の介護費用は、元の市町村が負担する仕組みを「住所地特例」といいます。
 反面、7月30日に公表された社会保障審議会介護保険部会の「介護保険見直しに関する意見」では、住所地特例には否定的な意見が盛り込まれました。
 確かに、市町村の施設事業者に対する指導権限が強化されるといっても、介護保険の趣旨からいっても、入所者を市町村が決めることはできないと思います。その意味からすると、住所地特例を導入する方が、介護保険財政の健全化には役立つと思われます。今回の知事答弁は、そうした地方の考えを代弁したものです。
介護保険見直しに関する意見
(痴呆性高齢者グループホームの位置付け)
○現行制度では、痴呆性高齢者グループホームは都道府県知事が指定する扱いとなっているが、地域とのつながりを重視する観点から「地域密着型サービス」の一つとして位置づけることも考えられる。これにより、市町村が直接、痴呆性高齢者グループホームの指定・指導監督を行い、市町村内における設置について主体的に関与することが可能となる。なお、この場合でも、前述の小規模町村における広域化の必要性等は同様である。
(住所地特例」について)
○痴呆性高齢者グループホームについては、いわゆる「住所地特例」の対象とすべきであるとの意見が強い。しかし、この「住所地特例」という措置は、住民でありながら介護保険制度上は別の市町村の被保険者として扱われるという極めて例外的な措置であり、前述のような形で市町村による関与が強化されるとするならば「住所地特例」を、あえて拡大する必要があるか、住所地特例の在り方も含め、慎重に検討する必要がある。