政府は11月1日、地震や台風などの被害を受けた自治体と、全国のボランティアとの仲介を図る新たなシステムを構築する意向を固めました。
 全国の自治体を結んだオンラインシステムを利用し、災害発生後、被災住民側はボランティアに求める支援内容や期間を登録します。一方、ボランティア側は活動が可能な内容・分野や期間をそれぞれ登録し、関係自治体の仲介により、効率的な救援・復旧活動を進める仕組みです。
 総務省消防庁は、17年度にも本格的なシステム開発に着手します。
 新潟県中越地震や阪神大震災のような大規模災害では、大勢のボランティアや民間活動団体(NGO)が全国各地から駆けつけ、被災民を支援しています。しかし、ボランティアが被災地の正確な状況を知らずに現地に入った場合、活動地域や内容が偏り、混乱が起きる懸念があります。被災自治体側も、被災地で活動するボランティアの人数や活動範囲を把握しきれず、効果的な対応を取れない例も出ています。
 このため政府は、災害発生時に被災地とボランティア双方が、情報を共有する仕組み作りに乗り出すことになりました。
 消防庁が試験的に開発しているコンピューター・ソフトでは、被災地でボランティアを希望する個人や団体は、居住地の市町村を通じ、現地での活動可能期間や得意な活動分野を登録します。活動分野は、救護・救援、幼児の世話、高齢者の介護、手話通訳、弁護士業務など15項目の中から選びます。
 一方、被災地の住民も、地元市町村を通じて、ボランティアに依頼したい活動内容や期間などの情報を登録することになっています。
 被災自治体は、オンラインで集約された双方の情報を検索・照合し、どのボランティアにどの地域で活動してもらうことが望ましいかを判断し、ボランティア側に活動を紹介する仕組みとなります。
災害ボランティア情報の発信はどうあるべきか(私見)
 さて、こうした仕組みくりむ自体は大切なことですが、実際の災害の現場でどれだけ有機的に稼働するか疑問が残ります。こうした仕組みに登録できるボランティアやNPOはごく限られた専門的な団体になると思われます。
 圧倒的多くの災害ボランティアは、個人や友人、小さなグループで存在しており、よりフレキシブルな情報提供体制が望まれます。したがって、自治体を仲介した大がかりなシステムを重要ですが、インターネットで手軽に閲覧できる情報提供システムを検討することが必要です。
 今回の新潟中越地震では、数多くのインターネットサイトが生まれました。逆に、どのサイトの情報を信頼すればよいのか混乱するほどです。こうした情報のポータルサイト作りは是非必要です。
 蛇足ですが、防災情報の発信は必ず現場から行う方がよいと考えます。新潟中越地震では、掲示板の情報を整理したサイトやマスコミ情報を整理したサイトなどが運営されました。二次情報を提供するということの危険性をもっと重要視しなくてはいけないような気がします。原則は、市町村の災害対策本部と連係をとった責任ある一次情報の提供を行うべきだと思います。更に、その情報がどのようなソースに寄っているのか、各ウェッブサイトは明示しなくてはならないと感じました。
(各サイトの管理者のご努力を否定するものではありませんので、ご理解下さい)