茨城新聞20004/12/17付け一面 12月16日水戸市議会は、市内笠原町に計画中の大型ショッピングセンター「水戸メガモール」(仮称)について、事業者の信用問題などを理由に計画を承認しないことを橋本昌知事に求める意見書を、可決しました。
 意見書は、既存商店街への影響や周辺への悪影響、交通量増大による生活環境の悪化、事業者の信用性に対する疑惑などを挙げ、橋本昌知事に開発事業を承認しないよう求めています。
 市議会は今回、賛成22人、反対3人、退席6人、欠席1人の大差で意見書を可決、計画に反対する姿勢を明らかにしました。この意見書は、週明けにも知事に提出されます。
 また、この議会の意見書を受けて加藤浩一水戸市長は、「反社会的な者から金銭の授受があったのは残念。行政は絶対に排除すべきこと」、「審議会には赤裸々にお話しして、意見を集約し、県に意見書を提出したい」(常陽新聞2004/12/17付け)と話し、暴力団との関係なども重視し、メガモールを容認した原案にはこだわらず、土地利用審議会が出す結論を尊重する姿勢を明らかにしました。
 一方、定例の記者会見(12月16日)で橋本昌県知事は、「水戸市から意見書が、県に上がってきた段階で、県土利用の調整に関する基本要綱に即して適切な判断をしていくことになる。これまで市町村長の意見を重視してきたので、基本姿勢が変わることはない」と述べ、市の意見書の内容を重視する考えを改めて強調しました。
 水戸市議会が水戸メガモールに反対する姿勢を鮮明にした現状では、計画の実現は困難になったものと考えられます。
<市議会で可決された水戸メガモールに反対する意見書>

(仮称)水戸メガモール開発計画を承認しないことを求める意見書

 水戸市笠原町に計画されている「(仮称)水戸メガモール開発計画」は、逆川に沿った南北1.5キロメートルの約32ヘクタールの土地に、売り場面積が約8万平方メートルの商業施設とパチンコや映画館などの娯楽施設を複合させた国内最大級の大型商業施設である。
 これだけの大規模な商業施設ができれば、市内の既存商店の営業に大きな打撃を与え、多くの商店が廃業、倒産に追い込まれる可能性が大である。さらに、建設予定地の逆川に沿った地域は、水戸市の都市計画マスタープランにおいて自然豊かな緑地保全地域とされている。また、農業振興地域整備計画で指定されている農用地が含まれるなど、この地域に国内最大級の大型商業施設を立地し新たな商業の集積地を形成することは、現時点での水戸市の長期総合計画とも整合性がないものである。
 また建設予定地のすぐわきには、笠原小学校・中学校・幼稚園・保育園・公民館等の教育施設が隣接しており、教育環境の悪化が懸念される。
 さらに、(仮称)水戸メガモール計画では約7,000台の駐車場が整備され、1日2万1,000台の来客車両が見込まれるが、車両の集中や排気ガス、騒音などの交通渋滞の発生や通学路の危険性が増すなど、生活環境が悪化することも懸念される。
 以上のような問題がある中で、この度、開発事業者の信用に関わる数々の疑惑の存在が明らかになり、事業計画そのもの、すなわち事業者の枠組み、資金計画、地権者の同意等においてきわめて流動的で不透明なものとなっている。このことは、立地判断の前提条件をすでに満たしていないものと考える。
 よって、(仮称)水戸メガモール開発計画については、これらの問題があり開発事業を承認しないよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年12月16日
茨城県知事あて
水戸市議会議長 小圷和男