民主党の菅直人代表の代表質問が波紋を呼んでいます。1月21日の衆院本会議で代表質問に立った菅代表は、「自衛隊のイラク派遣は、民主主義を破壊する暴挙であり、憲法違反」と断じました。そして、小泉総理と公明党の神崎代表に辞職勧告まで突きつけました。
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 この代表質問の模様は、同じ民主党の平岡秀夫代議士のHPに詳しく掲載されています。
 「菅代表は、本会議の開始前に開かれた民主党代議士会で、『本会議代表質問を原稿無しで行うため、2日間都内某所にこもり、櫂を削っていた。いよいよ巌流島の決闘の時が来た。』と発言し、その決意を示していました。代議士会で予め民主党の衆議院議員に配布された代表質問の項目一覧がありましたが、その項目の中で、実際の質問で触れられなかったものに年金問題がありました。質問時間の消化状況から見て、『忘れた』というより、時間が足りなくて『省略した』ようです」とあるように、ノー原稿での熱弁で、肝心な質問を飛ばしてしまうとの失態を演じました。
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 そればかりではありません、菅代表は、ドイツが北大西洋条約機構(NATO)領域外に軍隊を派遣する際、「基本法(憲法)を改正した」と述べました。
 しかし、その自信たっぷりの発言が、もろくも崩れてしまいました。1月29日、30日の衆院テロ防止・イラク支援特別委員会で、公明党の河合正智、赤松正雄両氏がそれぞれ菅代表の間違いを指摘、川口順子外相もドイツ軍のNATO域外への派遣は、憲法改正によるものではないと明言しました。
 2月3日の定例記者会見で、菅代表は「私の記憶が正確でなかった」とし、ドイツ基本法に関する発言を撤回しました。さらに、2月4日付けの菅代表のHPには、「憲法裁判所Date: 2004-02-04 (Wed)/先の本会議の代表質問で私は、ドイツは基本法を改正してNATOの領域外に軍を出せるようにしたと発言した。しかしこれは私の記憶違いであった。正確には湾岸戦争まではドイツ政府自身がNATO領域外に軍を出すことは憲法違反としていたが、その後、憲法裁判所が国会承認があれば憲法に反しないという判決を出した。この判決によりドイツは軍をNATO領域外にも出せるようになった。日本の場合憲法裁判所がなく、憲法判断は最高裁で行うことになっているが実際上は機能していない。憲法解釈は内閣法制局が実質上行っている。行政機関が自らの行政行為の違憲合憲を判断するのは明らかにおかしい。最高裁の憲法判断機能を強化するかそれともドイツのように憲法裁判所を設けるべきだろう」とのコメントが掲載されました。(菅直人の今日の一言
 明らかに、これは論議のすり替えです。「自衛隊のイラク派遣が違憲だ」というその根拠として取り上げたドイツの問題が、なぜか憲法裁判所の問題に変わってしまっています。
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 こうした経緯を経て、民主党は2月6日、菅代表の衆院本会議での代表質問のうち事実関係を誤認していた部分があることを認めて、該当部分を議事録から削除するよう与党に申し入れました。
代表質問であれだけのミエを切った菅代表。間違っていたので訂正します。勘違い(菅チガイ)で済ませるのでしょうか。菅代表の資質が問われています。