口座売買などを禁止、改正本人確認法が今日施行
 「おれおれ詐欺」や「不正請求」の温床となっている他人名義の銀行口座の売買などを禁止する改正金融機関本人確認法が12月30日施行されました。
 これら「振り込め詐欺」の大半は、架空・他人名義の口座とプリペイド式携帯電話の「二大ツール」を悪用。匿名性が高く利用者までたどり着けないことから、警察捜査の妨げとなっています。
 改正法は預貯金通帳やキャッシュカードの売買、譲渡を禁止しています。職業として売買を行った者には、懲役2年以下または300万円以下の罰金が科せられます。アルバイト感覚で口座を売った者に対しても、50万円以下の罰金の対象となります。更に、スポーツ紙の広告欄やインターネットなどに口座の売買や譲渡の広告、呼び掛けを掲載することも禁止し、違反者は罰金50万円以下となります。
プリペイド式携帯の本人確認を義務化へ
 一方、携帯電話、特にプリペイド式携帯電話の契約時における利用者の本人確認の徹底が残る課題です。
 プリペイド式携帯電話は、カードの事前購入による料金前払い方式のために、本人確認が徹底されていなのが現実です。
 携帯電話の規制策に関しては、不正利用を規制する新法がすでに与党内で調整を終えており、2005年の通常国会の冒頭にも提出される予定です。
 新法では、これまで各事業者が行っていた契約時の本人確認を法的に義務化します。新たに譲渡時の本人確認も義務化し、利用者の匿名性を排除することで、プリペイド式やレンタルを含めたすべての携帯電話の不正利用の防止をめざしています。本人確認の際に虚偽申告をした場合は50万円以下の罰金。譲渡に関しては、親族や生計を同一にするものを除いては、あらかじめ事業者の承諾を得ることが必要になります。
 また、従来は、犯罪に利用されている電話番号が分かっていても、通信の自由などの憲法上の理由から回線を停止することができませんでした。新法が成立すれば、犯罪への関与の疑いが強い電話番号に関して、警察が各事業者に契約者の確認の実施を求めることができるようになります。事業者は、契約者が本人確認に応じない間、携帯電話の利用を一時停止することができます。
 新法ではそのほか、既存の利用者に対する本人確認の義務化なども盛り込まれており、携帯電話利用者の匿名性の排除により、振り込め詐欺の防止が一段と前進すると考えられます。