日立市十王町の独立行政法人林木育種センター(理事長:中道正)では、遺伝的に花粉が全く生産されない特性を持つ無花粉スギ(雄性不稔スギ)を新たに確認しました。この無花粉スギを「爽春(そうしゅん)」と名付け、品種登録の出願を行ったことを公表しました。
 無花粉スギを新たに開発したことにより、大きな社会問題となっているスギ花粉症問題に対して、林木育種の面からより幅広い対策を進めることが可能となりました。
 2月1日、井手よしひろ県議は、林木育種センターに中道理事長を訪ね、無花粉スギについて説明を聴取しました。その後、担当者の案内でさし木苗の増殖を行っている温室とセンター内の無花粉スギの原木を視察しました。
 増殖用の温室は室温20度、湿度90%以上に保たれ、数百本の苗が育成されていました。
 その他、検定林の中には約60本が生育しており、都道府県などから配布の要請があれば、すぐに供給することが可能であると説明を受けました。
 無花粉スギは、平成4年に富山県内で初めて発見されました。原木が一本しかなく、普及が進んでいないのが現実です。スギには遺伝子的に分類すると、「表スギ」といわれる太平洋側の集団と、「裏スギ」といわれる日本海側の集団に分けられます。今回、「表スギ」の中から無花粉スギ「爽春」が発見された意義は大きく、すでに成長過程の特徴や材質の裏付け、凍害抵抗性などの確かなデータも揃っていることから、普及促進に弾みがつくと思われます。
参考:独立行政法人林木育種センターのHP
参考:無花粉スギを新たに開発(プレスリリースPDF版)
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