ライブドアとフジサンケイグループの株式取得を巡るニュースは、その関連の知識を全く持っていなかった私には、どこかよその国の出来事のような気がしていました。
 しかし、ここにきて話しの方向性が少し変わってきたような気がします。2月22日、毎日新聞は「ライブドア:副社長、株追加売却で誤記載」との記事を配信しました。
 この記事が事実であるならば、ライブドアという日本のブログ界を代表する企業の副社長が、ブログというメディアで、多くの一般投資家に誤った情報を流すという愚かな行為を行ってしまったことになります。
ライブドア:副社長、株追加売却で誤記載
毎日新聞(インターネット版:2005年2月22日 3時00分)
 米国系のリーマン・ブラザーズ証券がライブドアの堀江貴文社長から借り受けたライブドア株の売却をめぐり、ライブドア副社長が運営するインターネットの日記型個人サイトで事実と異なる記述をしていることが21日、分かった。リーマンは借り受けた約4672万株(発行済み株式総数の7.26%)のうち約890万株を10日に売却。さらに、約280万株を10日以降、2度にわたり追加売却したが、同サイトでは「売っていない」と記しており、「一般投資家の誤解を生む」との指摘も出ている。
 リーマンが関東財務局に21日提出した変更報告書によると、借り受けたライブドア株のうち14日に200万株、15日に約80万株を市場で売却した。その後、16日にリーマンのグループ会社から約815万株を借り受け、16日時点でのリーマンの保有株数は約4317万株(同6.71%)となっている。
 これに対し、ライブドアの熊谷史人副社長の個人サイトは18日付でリーマンが10日にライブドア株を売却したと指摘しているものの、「それ以降の株価の下落局面では一切株式は売っていない。リーマンの日本代表に下落局面で売却していないという事実を再確認した」と記している。同サイトはネット上の株式欄にも引用され、投資家の売買の参考にされている。
 証券取引法では、株式相場の変動を目的に虚偽の情報を流す行為を「風説の流布」として禁止している。副社長がサイトに間違った記述をした理由は不明で、ライブドア広報は「担当者と連絡がつかない」と話している。
 リーマンは8日、ライブドアと800億円の転換社債型新株予約権付き社債の契約を結び、ニッポン放送株取得資金をライブドアに提供した。契約には、堀江社長が保有するライブドア株の一部をリーマンに貸与する内容が盛り込まれている。【後藤逸郎】

 ライブドアの熊谷史人副社長は、弱冠27歳。ライブドアの中でも最年少の取締役です。「アエラ」2月28日号の記事によると、熊谷氏が今回のニッポン放送株取得の責任者で、本人が「(この買収劇は)私が全部考えて、私が一人で全部やりました」と語っている人物です。
 その熊谷氏のライブドア内に開設された個人ブログ「日々の業務(IR等)」(http://blog.livedoor.jp/livedoorIR/)の2月18日の記事「感じることを率直に。」が、今回問題になっている内容です。
日々の業務(IR等)
【2月18日 感じることを率直に。】
リーマンブラザーズが2月10日(?)にショートをかけたのは事実であるが、それ以降の株価の下落局面では一切株式は売っていない。
また、堀江の貸し株もブリッジローンの返済とともに、堀江のもとに戻ってくる。
先ほど、リーマンの日本代表の方に下落局面で売却していないという事実を再確認した。
明日も株価対策や今後についてリーマンと話し合いを持つ予定である。

 と明記されています。(2005/2/22am11:05現在)しかし、関東財務局に21日提出されたリーマンの変更報告書によると2月14日に200万株、2月15日に約80万株を売却しています。すなわち、11日以降も少なくとも280万株を売却した事実が明らかになっています。
 同じブログの中で、熊谷氏はこうも語っています。
日々の業務(IR等)
【2月18日 感じることを率直に。】
インターネットの普及により、より多くの情報を個人が取得できるようになり、このblogのように情報発信者である自分がメディアというフィルタをとおさずダイレクトに意見を言えるようになってきて本当にうれしい。
また、この私の投稿にも数多くの方から意見をもらえる。
きつい批判もあるが、それはそれで自分のためになる。
情報発信者と受け手が双方向でコミュニケーションできるというのは、なんとすばらしいことかと思う。

 私もその通りだと思います。しかし、「その大前提は記載されている内容が真実であること」です。このブログには、様々なコメント(195件)やトラックバック(51件)が寄せられ、関心の高さを裏付けています。
 熊谷氏の一刻も早いブログでの説明を期待したいと思います。

(2005/2/22pm5:12追記)
 議会でのヒアリングを終え、熊谷氏のブログを確認したところ、一番重要な部分に「確認中」との注釈が加えられました。午前中のキャプチャー画面も保管してありますので、後ほど見比べてみたいと思います。
日々の業務(IR等)
【2月18日 感じることを率直に。】
リーマンブラザーズが2月10日(?)にショートをかけたのは事実であるが、それ以降の株価の下落局面では一切株式は売っていない。
※1
また、堀江の貸し株もブリッジローンの返済とともに、堀江のもとに戻ってくる。
先ほど、リーマンの日本代表の方に下落局面で売却していないという事実を再確認した。※2
明日も株価対策や今後についてリーマンと話し合いを持つ予定である。
※1、2:確認中
●アンダーライン部分が、当初の記事に加筆された箇所です。

 「確認中」と逃げることより、しっかりと内容の訂正を行うことのほうが潔いと思います。また、ブログの性格上、訂正や追加した内容は、誰でもがわかるように明示する必要があるのではないかと思います。

(2005/2/22pm7:48追記)
 議会を退出し、自宅事務所でパソコンをつけてみると、「確認中」が「お詫び・訂正」に変わっていました。
日々の業務(IR等)
【2月18日 感じることを率直に。】
リーマンブラザーズが2月10日(?)にショートをかけたのは事実であるが、それ以降の株価の下落局面では一切株式は売っていない。
※1
また、堀江の貸し株もブリッジローンの返済とともに、堀江のもとに戻ってくる。
先ほど、リーマンの日本代表の方に下落局面で売却していないという事実を再確認した。※2
明日も株価対策や今後についてリーマンと話し合いを持つ予定である。
※1、2:確認中→10日以外に売却していたことを確認しました。
大勢の方がみているこのblogで誤情報を記載したことをお詫びし、訂正いたします。
現在、正確な売却日及びその株数を確認しています。
確認し次第正確な情報を報告します。

●アンダーライン部分が、当初の記事に加筆された箇所です。


(2005/2/22pm8:45追記)
 今度は、食事を終えてもう一度見てみると、280万株処分の事実確認が掲載されていました。
日々の業務(IR等)
【2月18日 感じることを率直に。】
リーマンブラザーズが2月10日(?)にショートをかけたのは事実であるが、それ以降の株価の下落局面では一切株式は売っていない。
※1
また、堀江の貸し株もブリッジローンの返済とともに、堀江のもとに戻ってくる。
先ほど、リーマンの日本代表の方に下落局面で売却していないという事実を再確認した。※2
明日も株価対策や今後についてリーマンと話し合いを持つ予定である。
※1、2:
2005年 2月14日 普通株 2,000,000 処分
2005年 2月15日 普通株 801,580  処分
と売却をしております。
大勢の方がみているこのblogで誤解をあたえる情報を記載し誠に申し訳ございません。深くお詫び申し上げます。

●アンダーライン部分が、当初の記事に加筆された箇所です。