住民団体から条例の改廃請求が出されていた境町議会は、4月22日、臨時議会を開催し、次の選挙から議員定数を14名に削減することを賛成多数で議決しました。
 境町議会は、合併問題をきっかけに住民よりリコール請求が出され、その解散の是非を決める住民投票が5月29日に行われることが決まっています。この住民運動に対抗する形で、3月定例議会の最終日、一度決まっていた定数を14名に削減する条例適用を先送りし、議会が解散された場合、定数20名で出直し選挙を行うとした条例が議決されました。
 こうした多数派議員の横暴に、住民団体が強く反発し、定数を14名に戻すよう「条例の改廃請求」を署名を添えて提出していました。
 22日午前行われた境町議会の臨時会では、採決の結果「賛成9・反対6」で、定数20名にする条例を廃止し、14名に定数を戻すことが決まりました。
 なお、議決に先立ち2名の町議の議員辞職が認められ、欠員は3名となりました。
 混乱が続く境町議会ですが、いよいよ5月29日の住民投票に向けて、解散・出直しの声が大きくなるものと思われます。
住民が解散請求の境町議会・定数削減の先送り撤回
東京新聞(ChuninchiShinbun Web Press 2005/4/23)
 住民団体が解散を直接請求した境町議会は二十二日の臨時議会で、いったん先送りした議員定数の削減の適用を元に戻し、次回選挙から適用するよう改める条例改正案を賛成多数で可決した。この結果、来月二十九日の住民投票で議会解散が成立した場合、出直し町議選は削減した定数一四で実施されることになった。 (松岡 祐司)
 定数条例の改正は、同町の住民団体の代表らの直接請求に基づく。
 野村康雄町長は「議員自ら先駆けて議員定数を削減した。行財政改革の観点からも条例改正はもっともと考える」との内容の意見書を付けて条例案を議会に提案した。
 討論で稲葉穆(あつし)議員は、条例改正が住民の直接請求によるため、「(改正すれば)『解散請求は無効』とする議会側の弁明書と矛盾が生じる」と反対を主張。一方、内海和子議員は「半年も経たないうちに定数削減の適用を先送りするのは朝令暮改。戻すのは当然」と賛成した。
 採決の結果、定数削減の適用を「施行の日(昨年十月一日)以降の一般選挙から適用する」と改める条例の一部改正案は九対六で可決された。
 議員定数を二〇から一四に削減する条例は昨年九月に可決されたが、三月定例会最終日に「任期満了(二〇〇七年十月)に伴う次回選挙から適用する」と改正され、議員定数の削減が事実上先送りされた。
 これを受け、「さかい町議会を解散させる会」の栗原利雄代表(69)らは「議会解散請求の署名を無視した暴挙だ」として野村町長に千二百七十三人の署名を添え条例改廃を直接請求していた。
■焦点は出直し選挙へ 終始混乱した臨時町議会
 境町の定数削減条例の適用日と議会解散をめぐり、二十二日の臨時議会は終始混乱した。
 冒頭、篠塚貞夫議員が「健康上の理由」、瀧口信之議員が自身の進退が問われたことを理由に議員を辞職。この議事をめぐって議員と傍聴者が口論になり、議事進行が一時ストップ。
 さらに、議会解散に否定的な秋元守議員が「町の混乱を招いた責任がある。定数は二〇でも一四でも解散して正々堂々と戦った方がいい」として、現行定数で選挙を行うことになる自主解散の緊急動議を提案。しかし、定数削減条例が再改正されるとあっさり取り下げた。
 定数削減条例は三月に九対八で改正されていた。しかし、この日は採決に欠席した議員が解散を受け入れる側に回り、解散反対派の一人が欠席したこともあり賛否が逆転して再改正が実現。「支持者の声を真摯(しんし)に受け止めた結果」(栗原代表)になった。
 条例の再改正で、今後の焦点は解散成立後の出直し選挙へ移る。「さかい町議会を解散させる会」と、商工会や青年会議所のメンバーが中心の「新みらい研究会」は独自候補の擁立を目指し具体的な調整に入るという。
 ただ、議会を傍聴した男性(66)は「議会はすでに機能不全。恥をかく前に自分たちで解散したほうがいい」とあきれていた。