11月30日、茨城県議会では一般質問が行われ、介護職員の待遇改善の問題が取り上げられました。
高齢化の急速な進展により、福祉・介護に対するニーズが、ますます増大する中、他産業との賃金格差などにより、その担い手である人材の確保が困難となっています。このようなことを受け、政府はこの10月から、月額1万5000円の賃上げに相当する資金を事業者に交付する、「介護職員処遇改善事業」をスタートさせました。
しかし、対象が介護職員に限られていることから、現場では不公平感があり、10月末の申請率が、茨城県では約66%にとどまっていることが報告されました。
全国的に見てみると、最も申請率が高かったのは秋田県で84%。広島、山梨、福井、富山、京都、山口の各県が8割を超えています。茨城県の66%は全国平均の72%を大きく下回り、38番目となっています。最も申請率が低いのは宮崎県で52%です。
介護職員の処遇改善に向けては、介護報酬自体の引き上げなど、抜本的な見直しが必要です。国をあげての取り組みが必要です。
厚生労働省の介護サービス施設・事業所調査(2007年10月現在)で、ホームヘルパー(1級、2級、3級)に従事する人は28万2812人、介護福祉士は6万8875人です。さらに、厚労省の賃金構造基本統計調査(08年)によると、全産業の平均と比較し、介護職員は所定内賃金(労働契約で定められた時間内の基本給と諸手当)が低く、勤続年数も短いという特徴があります。
公明党の推進で今年4月から介護報酬が3%上乗せされ、10月には介護職員処遇改善交付金の創設で、給与面の改善が動きだしました。
しかし、介護職員の給与を引き上げる処遇改善交付金は、対象が限られています。介護保険のキーパーソンと言われるケアマネージャー、訪問看護に係わる職員(看護師)、後方から支援する事務員などは対象外で、ヘルパーとの待遇に差が出ることを懸念して、全国でも約3割の事業所が申請をしていません。
また、来年度からは交付要件に、介護職が将来進む経歴を示すキャリアパス(能力アップの道筋)を明らかにすることが求められています。立場と給料が保障されることを歓迎する一方で、責任も増すことに不安を感じるヘルパーも少なくありません。各施設や事業所がキャリアパスを本当に展開できるのか、雇用側にも慎重論が払拭されていません。
さらに賃金の地域格差の問題もあります。介護報酬を改定して大都市部の地域係数を上げなければ、介護職員の給料は上がりません。物価高などを反映した地域係数になっていないため、大都市では介護人材の“崩壊”が起こっています。厚生労働省は変えたくないようですが、このままでは「官製ワーキングプア」をつくっているようなものです。
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