昨今、ライフスタイルの多様化や少子高齢化により、若い世代の働き方や暮らし方が変化してきています。非正規で働く人や共働き世帯が増加した結果、若い世代が本来望んでいる仕事と生活の調和が崩れ、理想と現実のギャップに悩む人が少なくありません。
例えば、働く貧困層と言われるワーキングプアから抜け出せずに結婚をあきらめざるを得ないという若者の増加、仕事と子育ての両立に悩む女性の増加、正規雇用でありながら過酷な労働環境のもとで働き続けることができなくなってしまう若者の増加など、今、若者を取り巻く雇用の問題は多岐にわたっています。
中でも深刻なのが、過重労働の問題です。「遅くまで残業しても残業手当がつかない」「休みたくても有給休暇がとれない」など、過酷な労働環境に関する悩みが若者の間でも広がっています。
特に、若年世代を中心に社員を低賃金で働かせ、長時間労働や過剰なノルマの押しつけを繰り返す企業の存在が指摘されるなど、企業による若者の「使い捨て」が疑われる実態が大きな社会問題となっています。
このような状況を踏まえ、公明党青年委員会は、本年春に各地でアンケート調査を実施し、28万6千人もの方から回答をいただきました。この調査で得られた声を基に、6月11日に「若者等に劣悪な労務環境の下で、仕事を強いる企業に対する監督指導等の強化」を図るよう総理に対し提言を行い、いわゆる「ブラック企業」といわれる事業者に対する取り組みの強化を訴えました。
その結果、厚生労働省は9月を「過重労働重点監督月間」と銘打ち、若者の「使い捨て」が疑われる企業等に対して、重点的な監督指導を実施することになりました。
具体的には、全国の労働基準監督署やハローワーク利用者からの情報などをもとに約4000社への立ち入り調査を行います。立ち入り調査では、サービス残業や違法な長時間労働などが無いか調べ、法に違反している場合は是正指導を行うほか、悪質な場合は送検したり、企業名を公表します。
また、過重労働やパワーハラスメントなどの現場のトラブルに関して、都道府県労働局や労働基準監督署にある総合労働相談コーナーで、9月より相談ができるようにするなど、問題解決のスピードアップ化も図っていきます。
日本の将来を担う若い皆様が安心して働き続けることができる社会の実現をめざし、今後、「ブラック企業」対策に全力を挙げていきます。
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