
与党の軽減税率への検討がようやく動き始めました。
自民、公明両党がまとめた2013年度税制改正大綱には、「消費税率の10%引き上げ時に、軽減税率制度を導入することをめざす」と明記されています。これを踏まえ、与党軽減税率制度調査委員会は、関係団体へのヒアリングを重ね、11月12日に中間報告をまとめました。現在、この中間報告を基に軽減税率の制度はどうあるべきか、議論を詰めています。
公明党は、軽減税率の対象について、酒と外食を除く食料品全般と新聞、出版物を提案しています。国民が納得のいく分かりやすい線引きとするためには、食料品の中で対象を区分しないことが重要だと考えているからです。
日本の消費税に当たる付加価値税で軽減税率を導入しているヨーロッパ諸国でも同様の対応をしています。もちろん、軽減税率の導入には課題もあります。対象品目の線引きや事業者の事務負担をどうするのか。軽減税率の導入で社会保障財源の不足が生じた場合の対応も考えておく必要があります。
政府・与党内には慎重論もあり、まさに軽減税率導入への正念場を迎えています。
公明党は、焦点となっている対象品目の線引きや事務負担の課題について対処する制度設計を提示し、詰めを急ぎます。
なぜ、公明党は軽減税率の実現にこだわるのか?
消費税には、低所得者ほど負担感が増す“逆進性”の問題があります。それを和らげる対策が必要であることは、与党の共通認識になっています。
“逆進性”の緩和策の一つが、軽減税率です。食料品などの生活に欠かせない商品やサービスを対象に、標準税率より低い税率を適用する仕組みです。
低所得者対策として決定した「簡素な給付措置」(市町村民税非課税世帯1人当たり1万円)もありますが、これは一度限りの措置であり、対象も限定的です。
一方、軽減税率は低所得者だけでなく、消費の多い子育て世帯を含めた中間所得層に幅広く恩恵が及びます。だからこそ、公明党は軽減税率の導入が重要だと考えています。
ヨーロッパ諸国の例を見ると、付加価値税の標準税率が19%のドイツでは、食料品の軽減税率は7%、標準税率19.6%のフランスでは、食料品の税率は5.5%です。両国をはじめ、EU主要国では、食料品や水道、新聞、国内旅客輸送などが軽減税率の対象に設定されています。軽減税率は欧州で実績のある制度であり、日本においても十分に実行可能です。
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