「ピロリ菌」は、胃がんをはじめとして、多くの胃の病気の原因になとされている細菌です。ピロリ菌といがの病気の関係、そして除菌治療などについて、ピロリ菌と胃がん研究の第一人者・北海道大学の浅香正博特任教授のお話を、聖教新聞10月12日付の記事より引用します。
ピロリ菌感染者は3500万人
日本では年間5万人の方が胃がんで亡くなっています。
また、がん全体における胃がんの罹患者数は、男性では1番多く、女性でも2番めに多くなっています。
男女別の胃がん罹患者数は、男性が8万4000人余り、女性は4万人弱で、男性が女性の2倍以上となっています。
ちなみに、世界中の胃がん患者のうち、約50%が中国、日本、韓国に集中しており、胃がんは「東南アジアの地域病」ともいわれています。
胃がんの98%は、胃に住み付いている「ピロリ菌」によって発生すことが明らかになっています。
そして、ピロリ菌は胃がんのみならず、胃潰瘍、慢性胃炎など、胃に関するほとんどの病気の原因になっていることがわかってきました。
国内では、約3500万人もの人がピロリ菌に感染していると見られています。
検査・治療に保険適用
先月、世界保健機構(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、胃がん予防のために、ピロリ菌感染が多い国に対して、すクリーニング検査と除菌を組み合わせる対策をとることを勧める報告書を発表しました。
日本では、胃がんや胃潰瘍などに限られていたピロリ菌除菌への保険適用が、昨年、急性胃炎の患者さんにも広げられました。WHOの報告に先行して取り組んだ好事例といえます。
具体的には、胃内視鏡検査を受け、ピロリ菌感染胃炎と診断された場合、検査から除菌まで、すべてに保険が適用されることになります。通常、3割負担で数千円程度です。
この内視鏡検査により、多くの胃がんの早期発見が可能になることが期待されています。
これは「保険を利用した内視鏡検査」ともいえるものです。一人でも多くの方に、ピロリ菌感染胃炎の疑いで医療機関を受診していただきたいと考えています。
このように、ピロリ菌除菌と内視鏡検査を組み合わせることによって、胃がんは、死に至らずに済む病気に変わってきているのです。
検査や治療に当たっては、かかりつけ医に相談しましょう。以下のホームページで、近くの認定医などを調べることもできます。
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